初仕事
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不意に、頭目が言った。この頃は箱を使った練習ではなく、外に動物達を走らせる練習ばかりだった。動物達の制御も、視界の切り替えも、問題無く出来る。けれど、あんまり難しくないのが良い。
「そんなに気負わずとも、簡単な捜しものです」
「捜しもの」
「ええ、手始めに、人探し等してみましょう」
二枚の紙を手渡される。顔写真は無く、どちらも簡素な情報のみ。否、情報とすら言えないかもしれない。
「えーと……優先順位は?」
「二枚目の方を」
後ろにあった紙を見る。十代前後で、異能力者。孤児院か、児童保護施設で生活している。身体的特徴はこれといって無し。名前も不明。……さて、該当者、何人居るんだろう。日本全国となると、と気を遠くしかけて、留まった。
「見つけたのから全員書き出せばいい?」
「そうですね。該当者をリスト化していただければ、後はぼくがやります」
「時間が掛かるよ」
「構いません。急務ではありませんから」
なら、近いところから徐々に範囲を広げていくかと考える。
「分かった。で、こっちは……」
此方はまだ情報がある方か。異能力の研究者。本人も異能力者。嗚呼、名前が判明してる。澁澤龍彦。男か。
「其方は所在地を見つけてください」
「ん、了解」
多少の個人情報がある分、まだ探しやすいかもしれない。研究者とは言え、名札を付けている保証は無いし、声が聞こえる訳でも無いけど。
自室に戻り、異能力を発動させ、生じた小動物を外に出す。先ずは近場の孤児院及び施設探しから。
「さて、一ヶ月かからなかったら幸運だな」
長丁場になるぞ、と気合を入れた。
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