「おかあさんー!」「おかあさんっ」
「二人ともおかえり!楽しく過ごせた〜?」
「とっても楽しかったよ!!」「うんっ」
「良かった!先生ありがとうございました!」
「いえいえ!今日も元気よく遊んでいましたよ!そういえば今日は桜の花びらを使って工作をしたんです!お家に持ち帰れるので一緒に見てくださいね!」
「そういえば朝に佐藤先生が言ってました!楽しみです!」
「そうだったんですね!二人ともよく作れていたのでいっぱい褒めてあげてください!」
「はい!それじゃあ失礼します〜二人とも先生にさようならしよう!」
「せんせいさようなら!」「さようなら」
「はいさようなら!」
にこにこなせらと上機嫌な恵二人と手を繋いで車へ向かう。
「帰ったら二人の作ったものお披露目会したいなあ〜」
「したいしたい!!おかあさんにみてほしい!」「ぼくもっ」
「ほんと?ありがとう!じゃあお披露目会用のおやつ買う人〜!」
「はいはーい!」「はいっ」
「二人ですね〜?じゃあスーパーに寄って買いましょう!」
「やったやったー!」「ありがとうおかあさんっ」
「どういたしまして!」
車に着き、二人をチャイルドシートに乗せて朝のように助手席に荷物を置く。運転席に乗り込み、エンジンをつけた。
「それじゃあスーパーへレッツゴー!」
「れっちゅごー!」「おーっ」
「せらね!きょうね!おにいちゃんとせんせいとあやちゃんでおりがみしたの!」
「そうなんだ!何作ったの〜?」
「えっとね、へびさんとうさぎさん!あ、あとね!くろのおりがみでね、いぬさんもつくったの!くろにそっくりなんだよ!」
「ぼくはしろとぞうさんつくった」
「わー!二人ともいっぱい作ったんだね!」
「とってもかわいいんだよ!せんせいがもってかえっていいよっていってくれたからかばんのなかにいるの!」
「そうだったの!じゃあお披露目会の時にお母さんも見てもいい?」
「うんいいよ!」「うんっ」
「それでねそれでね!おにいちゃんのつくったしろはね!とってもきれいなんだよ!」
「!」
「あらそうなの?恵さすがだね!」
「……うんっ」
「ふふっ凄い凄い!お披露目会がもっと楽しみだなぁ!じゃあ早くおやつ買っておうち帰ろうか!」
「うん!」「うんっ」
話しているうちにスーパーに着き、ハンドバッグを取り、二人を降ろす。浮き足立っているせらとそわそわしている恵と手を繋ぎ、お菓子コーナーへ一直線に向かった。
「せらはアンパンマンのグミか!」
「うん!あさね、おにいちゃんとみたから!」
「そうなんだねー!じゃあカゴに入れてくれる?」
「はーい!」
「ありがとう!恵は何にするー?」
「うんと……えっと……これか、これ……」
「わぁー!どっちもいいね!ぶどうのグミかアンパンマンのチョコが食べたいのね?」
「うん……」
「おにいちゃん!せらのあんぱんまんのぐみ、ぶどうあじだよ!いっしょにたべよ!」
「!……うんっ」
「わぁ!せら優しいね〜!恵良かったね!」
「せらありがとう……」
「いーえ!」
「じゃあ恵はチョコにする?」
「そうするっ」
「はい!じゃあカゴに入れてくださーい!」
「「おかあさんありがとう!」」
「はい、どういたしまして!じゃあ今日はアンパンマンでお揃いだね!」
「うん!おひろめかいおねえちゃんもできる?」
「んー、お姉ちゃんはまだ帰ってこないかな〜、お姉ちゃん帰ってきてからにする?」
「いっしょにしたいけどはやくおひろめかいしたいー」
「恵は?」
「せらがしたいようにしたい」
「そっか〜……じゃあ先に三人でお披露目会してお夕飯食べたらお父さんも入れてみんなでもう一回お披露目会する?」
「うん!そうする!」「恵もそれでもいい?」
「おとうさんほめてくれるかな……?」
「うん!お父さんも褒めてくれると思うよ!」
「わかった、それでいい」
「そう?じゃあ決定ね!お姉ちゃんの分も買っていこうか!」
「うん!どれがいいかな……」
「おかあさんこれは?」
そう言って恵が手に取ったのはアンパンマンのラムネだった。
「うん良いね!これでお姉ちゃんもお揃いだね!」
「うんおそろい!」
「つみきよろこぶかな……」
「もちろん!お揃いにしてくれて嬉しいっ!ってきっと喜んでくれるよ!」
「うんっ」
「二人ともお姉ちゃんの分も選んでくれてありがとうね」
「「どういたしましてっ」」
「よし!それじゃあレジへ向かいます!」
「ごー!」
二人と手を繋いでレジへ向かう。三番のレジ空いてるな、そこにしよう。
レジで会計をしている間、二人は商品を読み取る店員さんの手元が気になる様で、せらは恵の背中に隠れつつもこっそりと覗いていた。
「今日は三人で来たのね〜」
「そうなんです!上の子がまだ学校で」
「そうなの〜!確か一番上の子は今年小学生に上がったんでしたっけ?」
「はい!今日はお母さんが買ってくれた髪ゴム着けたいって言って結んであげたんですけど、学校に着けていくのは初めてで少しドキドキするって言ってました!」
「あら〜!可愛いわね〜!」
このスーパーに通ってもう数年経つからか、この気さくな店員さんともだいぶ打ち解けた。朝は見かけなかったからお話出来なかったのだけど、会えて良かった。三人が本当に小さい時から知っていて、まだせらは少し人見知りをしているものの三人ともこの店員さんに懐きつつあった。
「それじゃあね〜!」
「はい!二人ともまたね〜だって!」
「ばいばい」
「……ばいばい……」
「はいバイバ〜イ!」
二人とも照れながらもきちんとばいばいと言えた。うん可愛い。
三人で手を繋ぎ車に乗って帰宅する。お披露目会が楽しみだとはしゃぐせらに「そうだね」と相槌をし、言葉にはしないものの楽しみにしている様子の恵にもお披露目会楽しみだねと声を掛けると、少し躊躇いながらもうんっ、と可愛らしい返事をしてくれた。
荷物と二人を降ろし、玄関へ向かいドアを開ける。
「ただいまー!」
「ただいま!」「ただいまっ」
「それじゃあ手洗いうがいをしましょう!」
「「はーいっ」」
「おかあさん!はやくはやく!」
「待ってねー!」
ローテーブルにおやつを置き、待ち切れないとぴょんぴょん飛び跳ねているせらに返事をし、寝室のタンスから二人の部屋着を取り出し、リビングへ戻る。
「先に着替えちゃおっか!」
「はーい!」「うんっ」
「せら、上のお服も自分でやってみる?」
「うん!やってみる!」
「うん上手上手!じゃあこれ着てみよう!」
「んむぅ〜むずかしい〜!!」
「おててを通すのはこっちだよ〜!」
「できた!」
「おおー!えらいえらい!じゃあズボンも脱いでくださーい!」
「はい!」
「うん!……じゃあズボン履いて〜」
「うんしょ……わぁっ!」
「おっとと、大丈夫だよ!お母さんの肩に手置いてもいいよ〜」
「よいしょ……できた!」
「うんうん!よく出来ました!」
「ぼくもできた」
「うん!綺麗に着れたね!よし!じゃあリュックの中を綺麗にしましょう!これが終わったらお披露目会しようね!」
「「うんっ」」
「お着替えした服とハンカチを洗濯カゴに入れてきてください〜」
「はーい!」「はいっ」
その間にお弁当箱を取り出し、水につける。幼稚園ではおかずの給食は出るのでご飯だけ持参なのだけど、二人ともいつも一粒残さず綺麗に食べてくれる。それだけでとっても嬉しい。ちゃちゃっとあとの物を片付けて、三人分のお茶を持って二人の待つリビングへ戻った。
「もうできる!?」
「うん出来るよ!それじゃあ!お披露目会始めます!」
「「はいっ!」」
「まずはせらからどうぞ!」
「はい!せらがつくったのはこれです!」
「わぁ〜!可愛い栞だね!」
「うん!あのね、せんせいにね、おかあさんいっぱいほんよむんだよっていったら、じゃあこれがぴったりだねって、いっしょにつくってくれたの!」
せらが渡してくれた栞は、白い紙の両面に二三枚ずつ花びらが貼ってあり、それをラミネートしたものだった。
「え?お母さんにくれるの?」
「うん!そうだよ!つかってくれる?」
「えぇー!いっぱい使うね!ありがとう!」
「えへへ!どういたしまして!じゃあつぎはおにいちゃんだよ!」
「恵は何作ったの?」
「こ、これ」
「ん〜?メッセージカード?」
「なかひらいてみて」
「……わぁ!綺麗〜!」
恵が見せてくれたのは、二つ折りの花びらが沢山つけてある白い紙だった。中を開くと折り目の中心に切り込みが入っているのか一部分だけ飛び出し、そこには大きな桜の木が付けられていた。紙の端の方にはちょこちょこと花びらが付けてあり、中心の白い部分には「おかあさん、おとうさんいつもありがとう」と、少し歪で、でもとても丁寧な恵の字で書かれていた。
「……ぐすっ……恵……ありがとう……」
「えっ、おかあさんなかないでっ」
「あははっ!おかあさんないちゃった!おにいちゃんさぷらいずせいこうだね!!」
「恵〜〜!ありがとう!大切にするね!!」
「う、うん」
「あー!おにいちゃんだけいいなー!せらもー!」
感極まって号泣し、恵を抱きしめると、せらが横から入ってきた。可愛らしい末っ子の行動にこれまた胸をうたれ、二人をぎゅうっと抱きしめた。
「これはお父さんにも見せなくちゃね!」
「や、やっぱりいいよ、おとうさんにはみせなくて」
「だめだよ〜!だってちゃんとお母さんだけじゃなくてお父さんも書いてくれたじゃない!きっとお父さんも喜ぶよ!」
「で、でも……」
「おにいちゃん!せらとつくったっていおう?そしたらはずかしくないよ!」
「べ、べつにはずかしくないよ!」
「そっかそっか!でもせらがそう言ってくれているから二人で渡してみる?」
「う、うん、じゃあそうする」
「うん!決まりだね!」
「おかあさんおかあさん!まだうさぎさんたちものこってるよ!」
「そうだったね!」
「えっとね、じゃじゃーん!おにいちゃんも!」
「うんっ」
「わぁ、可愛いのがいっぱーい!!」
「これがしろとくろで、こっちがうさぎさん!」
「これはぞうさんとかえるさんだよ」
「へびさんもいるよ!」
二人が机に広げた折り紙は、犬のぬいぐるみの白と黒、ふわふわの薄ピンクのうさぎのぬいぐるみに、お風呂のおもちゃのゾウとカエルと細長の蛇の抱き枕にそっくりなものだった。どれも所々に花びらがつけられており、少し桜の香りがする。
「花びらでお洒落してて可愛いね!」
「でしょ!?おねえちゃんにもはやくみせたい!」
「めをきらきらさせるのがんばった」
「そうなんだ!確かにとっても綺麗なおめめだね!」
「「うんっ!」」
「あ!そうだお母さんいいこと思いついた!この動物さんたちさ、大きな画用紙に貼って飾る?」
「ええー!そんなことできるの!?せらやりたい!!」
「恵はどう?」
「せらがしたいならする」
「本当?それじゃあ今からしよっか!」
「するするー!まわりにみんなかいてもいい!?」
「それいいね!いっぱい書いちゃおう!」
「やったやった!せらいろえんぴつとくれよんもってくる!!」
「ぼくのりとはさみもってくる」
「二人ともよろしくお願いします!お母さんは画用紙持ってくるね!」
「「はーい!」」
それぞれ担当の物を取って、ローテーブルに置く。早速作業の開始だ!
「おかあさん、せらとおやつたべながらやってもいい?」
「うんいいよ!座って食べてね!」
「うんわかった、せら、おやつたべてもいいって。すわってたべよ」
「やったぁ!おかあさんありがとう!」
「どういたしまして〜」
二人がおやつを食べている間に大きめの白い画用紙を机に広げる。しっかり人数分持ってきてくれたのりとはさみを二人の前に置いて、色付きの小さめの画用紙を折り紙のサイズに合わせて少し大きめになるように切る。
作成としてはこうだ。まずは折り紙をある程度サイズを合わせた色つきの画用紙に貼り、それを白い画用紙に貼る。多分、せらの言っていたみんなと言うのは私達家族の事だろう。そのみんなが真ん中に、そしてそれを動物達が囲むように貼って、空いているところに桜の花びらを描く。うん。絶対にいい作品ができる。
「おにいちゃんはいどうぞ!」
「ありがとう、じゃあこれどうぞ」
「ありがとう!んふふ〜おいしいー!おにいちゃんもおいしい?」
「うんおいしいよ」
「よかったー!さいごのいっこはおかあさんにあげる!」
「ぼくも」
「えぇー!いいの?」
「もちろんだよ!」
「かってくれてありがとう」
「なんていい子達……!ありがとう二人とも!ん〜!とっても美味しい!」
「えへへ〜よかった!ねっおにいちゃん!」
「うんっ」
「嬉しかったありがとう!それじゃあごちそうさまでした!」
「「ごちそうさまでしたっ」」
「うん!じゃあうがいだけして続きしよっか?」
「うんする!」「するっ」
ゴミ箱にゴミを捨てて三人で洗面所ヘ向かう。せらは早く続きがしたいとスキップして先に入っていった。
「はーい!じゃあ動物さんたちを似た形の画用紙に貼ってください!」
「はーい!」「はいっ」
「んっとぉー、へびさんはこれ?」
「正解!じゃあのりで貼ってみようか!どっちにのりを塗ると貼りやすいかな?」
「えっと、えぇ〜どっちだろう……」
「こっちにぬったらのりがはみでないんじゃない?」
「わぁ!おにいちゃんかしこいね!すごい!」
「!あ、ありがとう」
「ふふっ恵正解だよ!凄い凄い!」
「えへへ」
「じゃあどんどん貼っていきましょう!」
「「はいっ」」
「「できた!!」」
「うん!上手に出来ました!そしたら次はみんなをこの黒い丸の中に描いていきましょう!」
「「はーい!」」
「わたしおにいちゃんかく!」
「じゃあせらかく」
「私は甚爾くん描こーっと」
「みてみて!じょうずにかけたよ!」
「おー上手上手!あ!恵も可愛いせら描いてくれてるね!」
「ほんとだ!おねえちゃんとおそろいのかみごむもかいてくれてる!ありがとうおにいちゃん」
「ん、どういたしまして」
「じゃあつぎおかあさんかく!」
「つみきかく」
「うんうん!二人とも上手だね!とっても可愛い!」
「でしょでしょ!」
それからは二人とも黙々と絵を描き、その間に私が桜の木や花びらを描いていく。
「完成ー!!」
「わー!かわいいー!!」
「きれいにできたっ」
「うんうん!二人とも流石だね!それじゃあこれはここで一旦乾かそっか!
「「はーいっ」」」
「よし!じゃあ片付けしますよ〜!」
「「はいっ」」
各自持ってきたものを元の場所に戻し、ローテーブルに戻ってくる。
「はいお疲れ様!じゃあご飯の時間まではゆっくりしよっか!」
「うんっ」「うん」
テレビをつけると時刻は十五時四十分。今頃学校が終わり津美紀が帰ってきているだろうと思いながらテレビを見た。
あまり面白い番組もやってなかったが何気なくぼーっと見てると、せらがソファで恵に持たれてすやすやと眠っていた。
「ありゃ、せら寝ちゃったか」
「うん、でもきもちよさそうにねてるから、おこしたらかわいそうだとおもって」
「そっかそっか、恵は優しいね。お母さんがお布団連れてくね。恵も一緒に寝る?」
「ううん、でもぼくもいく」
「わかった、じゃあ先に寝室行ってお布団敷いておいてくれる?」
「わかった、おかあさんたちのふとんおおきいからぼくのでもいい?」
「もちろん、ありがとう」
「ぜんぜんだよ」
「よいしょ、せらお布団で寝よっか」
「んん、おにいちゃん……」
「ふふっ」
寝言で兄の名を呼びながら笑うせらが可愛くて頬が緩む。せらは本当にお兄ちゃん大好きだね。
「おかあさんできたよ」
「ありがとう。せらが一緒に寝たいみたいだけどどうする?」
「ん、じゃあいっしょにねる」
「分かった」
最初は兄らしく仰向けに寝ているせらのお腹をタオルケットの上からトントンとしてくれていたが、間も無く夢の中へと入っていった。微笑ましく二人の頭をひと撫でして恵にもタオルケットを掛けてやり、本棚からお昼に読んでいた文庫本を持ってリビングに向かった。