12.「あるいは目の錯覚」

いつもの日課でゆ〜とぴああかつきにて入浴中。今日は何となく外の露天風呂に入りたい日だった。今思えば止めとけばよかったと後悔してる!

「はぁああー良い湯だ・・・」

長湯派なので肩までしっかりと湯に浸かり、タオルを顔に被せる。これで目元までしっかりと疲れが取れるから。

とても心地良い、心底日本人で良かったと思う。

(よし。そろそろ出よう)

ばしゃっと立ち上がる司はタオルを片手に室内浴場への扉に手をかける。開けようと力を入れれば自動的に扉は開いてしまった。

「すみません、どうぞ」

横に避けて相手方に道を譲る。

「・・・スパシーバ」

湯けむりで相手の顔は見えない。ぶっきらぼうな声音でそう聞こえた。海外の観光客か。呑気にそう考えて俺は室内浴場へ入る時だった。「トィ」と背後から声をかけられ、なにかに腕が取られる。自分よりも幾分か高い体温。

「ツカサ・サクマ!?お前、なんでこんなとこにいんだ!」

その言葉にぎょっとする。話しかけられた言語は英語だった。俺も元とはいえ日本代表選手であった以上、英語は日常会話程度ならば話せる。

だからその言葉もしっかりと聞き取れた。そして相手を見れば___。

「ユーリ・プリセツキーかよ!!!」

(マズイ相手に見つかっちまった!)