(へえ、これが新しい曲か)
前に聴かされた曲をアレンジし直したらしい。曲はよく勇利のことを理解して作られてる。アメリカにいた時の彼のことは分からない。けれど、とても良い友達を持っているな。
隣でヴィクトルも新しい曲に合わせて演技する勇利を見守っていた。
「ツカサ。昔から勇利をずっと知ってる君から見て、今の彼はどう?」
「普通だったら十代が全盛期だけど。正直、今が一番良い時だと感じる。お前の下で伸び伸びと滑れてる・・・この曲も、アイツのスケート人生そのものだと思うよ」
「・・・そっか。なんか照れるな〜」
アハハと笑うヴィクトルに対し、司はじっと勇利を見つめる。
(勇利にとってそれが一番にいいことだったし。分かってたつもりだけど、こういう風にいざ目の前にすると・・・)
寂しさを感じる。"憧れ"には勝てないよなぁ。ずっと一緒にいたのは俺だけど、最初の一年間は全くといっていいほど勇利とは仲良くはなかった。話せるようになるまで時間もかかった。
ヴィクトルは本当に凄い___突然目の前に現れて、瞬く間に勇利との距離を縮めて。
「ヴィクトル」
「なーに?ツカサ」
こちらを向くとさらりと揺れる銀の髪。
「来シーズンこそ、俺はお前に勝つ」