06.ページをめくるたび、死に急ぐ。
「李土様自らが手を下さなくとも、我々が処理致します故…剣をお収めください」
カトラスを下級ヴァンパイアに突き刺したまま、こちらを見据える主に足が止まる。あれ以来、李土様はなにかが吹っ切れたかのようにこうして毎晩自ら狩りをなされるのだ。
多勢に無勢であっても、あの方は純血種。生まれ持った才覚、そして圧倒的な強さ。誰も李土様の力の底を見たことはない。
そして私も彼の限界を知らなかった。
「良い…ここ暫く、動かしてないせいか体が鈍っているからな…。それに僕の命を狙っているんだ、僕にとってもヤツ等にとっても相手を始末できる…一石二鳥だろう」
李土の色違いの瞳は今、共に深い赤に染まっている。争いで流れる血に気分が高揚してるのが一因だ。
「李土様の御身に何かあってはそれこそ大事です…」
「…お前はそればかりだぞ、一条」
「興味が失せた」と、彼はカトラスを手放し屋敷へと戻って行く。
残された一条は懐から手ぬぐいを取り出し、その武器を丁寧に包んで屋敷へと持ち帰る。これは李土様が屠られた玖蘭家の前当主の奥方の愛武器。
何故か李土様はこの武器をご使用されている、母君のモノ故に思い入れがあるのかは分からないが___。