15.カンパニュラの心臓

俺の僕が何者かに二人やられた___。

「貴方が・・・玖蘭、李土様・・・・・・」

李土の僕を氷の力で倒した英はぽつりと呟いて屋根の上から見下ろす。

会ったことはないが向こうは一方的にこちらを知っているらしい。金の髪を揺らし、対象を氷らせる能力・・・藍堂家か。

「・・・去ね・・・お前たちは所詮下級のヴァンパイア。親である純血のヴァンパイアには逆らえないのだ・・・」

どこかへ行ってしまえそう命じれば彼は目を虚ろに「はい」と返事してその場を離れた。あの者はきっと学園の生徒だろう。巻き込みたくはないからな。

一つ息を付いて李土は立ち上がった。

(覚悟が決まった、全てを終わらせるために行こう)

ヴァンパイアの異常な運動能力で高く跳躍すると寮の屋根へと着地する。その先には自分を狙っているであろう狩人の成り損ない。

「藍堂センパイ!一人でどんどん先に行っちゃ駄目ですよ!」
「黒主・・・ちがっ!」

敵対しているというのにあの純血の君は去れと言ったのか・・・。噂では冷徹怜悧、邪魔者は容赦せずに八つ裂きにする血に飢えた獰猛な獣だと聞いたのに。目の前のあの方は噂と違い、正常で大人しく穏やかな雰囲気を漂わせている。

見知っている限りの純血種の中では最も美しく、強い方ではないだろうか。思わずひれ伏したくなる圧倒的なオーラに最年長者としての貫禄を感じた。

「お前は・・・・・・」

紅と蒼の双眸は剣呑な雰囲気に目を細め、優姫を見ている。

「・・・命事喰らわれ、僕の力となるためによく来てくれた・・・待っていたよ。この世界で最も若く瑞々しい力に溢れた玖蘭の純血の姫・・・」

「・・・初めまして、貴方が李土おじさま・・・?どうして、私を・・・」

(似てる・・・・・・)

直接見るが本当に二人にソックリだ。とくにこちらを睨みつけるように見るあの強い視線は樹里と同じ。


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