19.ホントは全部が間違っていた

「・・・枢様・・・私を滅ぼしに来られたのですか。今に復活された我らの尊き始祖の御一人がわざわざ・・・」

「貴方にはお世話になったから、一条麻遠。それに僕は眠り前の調子を取り戻したからね・・・」

一翁はただひたすら、目の前の石棺を見つめ続ける。

「此処は李土様が十年養生されていた地下室です。やはりこの場所に立つと、私のやってきた事は正しかったのだと再確認出来る。

父の代より我々一条家は、李土様の望む『人間との共存・繁栄』という理念のままにあの方の存在を有効に利用する事で、元老院は玖蘭家と共に円滑に吸血鬼社会の管理の役目を果たしてきた・・・。

そう、私は正しいことをしてきたつもりだ・・・。

枢様、むしろ非があるのは貴方の方ではないですか?」

「慎んでください、お祖父様ッ・・・!あの方を矢面に立たせる様に仕向けたのは我々一条家の責です」
「・・・拓麻」

枢の前に守るように立ちはだかるは孫の拓麻であった。

「手段を選ばないやり方は不幸でしかない・・・僕は李土様を見て思い知りました。あの人のやろうとした事は、お祖父様とは違う事でしたよ・・・」

悲しそうに微笑んだあの方の最期は忘れることは出来ない。カナメ様が能力で結晶化が始まったあの方を留めた。李土さまの躯に纏い付き、悲しみに暮れる方々___。

それに支葵は彼を知らぬまま、失ったのだ。大切な肉親を。

「・・・ねぇ。枢・・・あとは任せてくれるかな?」
「・・・そうだね、僕にとっての一条は君一人で良い」

知古の彼へそう問いかければ枢は微笑んで部屋を出て行った。

「・・・僕は偉そうな口を聞いておいて、貴方の作った枠からなかなか抜け出せませんでした。
お祖父様・・・一緒に道を間違えた一条家の幕を下ろしましょう。曾お祖父様もそう望んでます・・・」

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