11.言わないで、わかるから
「恋。協会の方はどう?」
「いつも通り、レベルE狩りが二件・・・」
ぽつりと返す甥っ子にそっかと再び書類に目を落とす。
「ちょっとぉ、恋ー。伯父様に対して素っ気ないよ、ほら愛想良く!」
「はなひてよ、姉ひゃん・・・」
むぎゅっと弟の口の端を押し上げる。ほとんど表情筋がない彼の顔にそれは酷だ。
「だめっ・・・ふふ・・・くっはは・・・はははは!!」
ちらりと見ていたカナメは書類を見るのを諦めて笑い転げる。
「「爆笑してる?」」
(・・・・・・珍しい)
カナメ伯父さんは普段、お祖父様みたいに穏やかに笑ってるタイプだ。今は大爆笑でソファから転げ落ちてるし。
「なぁに、君たちは僕は万年花畑とでも思ってる?人間の中の暮らしの方が長いんだよ?
笑うことは良いことだから。二人ももっと笑いなさい」
とくに恋はね、とカナメは目を細める。
「分かってるつもりだから、君はそれでいい。無理しなくていいよ」
「伯父さん・・・・・・」