02.情念の排泄

私達がお母様やカナメ伯父様から聞かされた李土大伯父様のこと、カナメ伯父様御自信のこと。そして一条家という玖蘭家にとってはなくてはならない存在について。

カナメ伯父様は一条麻遠様が自らの父を奪う要因になった大伯父様を憎んで凶行に走ったと言ったけれど___私は違うと思ったの。

「私がお母様を大好きなように、麻遠様も大伯父様のことが好きだったと思うんです・・・永い時を生きているから・・・その思いに魔が差してしまったんじゃないかって」

でも、心の底では親にも等しい彼を愛してた。私は一条麻遠様にお会いしたことはないけれど。

「・・・・・・愛。たとえそうだとしても、僕はあの人の事を好きにはなれないよ」

伯父様の傍に一番近しくて一番の愛情をもらった彼を。李土伯父様は彼を信頼していた。一翁の裏切りを最期まで知らぬまま、あの人を含む全てを慈しんで眠りについたのだから。

落ち着いた頃に李土が眠る棺へと足を運んだカナメはあるモノを目にして愕然とした。

("紫のアスター"・・・)

それも、枯れぬように能力が使われた一輪の花が棺の上に鎮座していたのだ。それが目に入った瞬間、僕は怒りに満ち溢れ感情が爆発して無意識にその花を灰へと変えてしまった。

己の愛は相手よりも深いという、愛を示す花言葉を持つから___。

「僕は・・・叔父様が」

(・・・好き、だった)
「のかもしれない・・・」

「カナメ伯父様?」

「なんでもないよ愛」

あんなに美しい人は生涯、見る事はないだろう。それも永久に叶わぬままに。



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