05.虹色の虹彩
大伯父さんが作ってくれたご飯は、正直に言うと美味しくない。
でも、レシピ片手に慣れない作業と格闘してる後ろ姿は微笑ましくて姉さんと笑って見てた。
「大叔父さん、本気で夜会に出るつもり?」
「僕の存在は知られてるんだろう。ならば、顔は出さないとまずいんじゃないか」
元々、大伯父さんは玖蘭の直系男子で純血だしで顔はヴァンパイアの中でも一番に良いから厄介だ。
とくに一条家の三つ子には目を付けられてしまったら余計に。
「恋、大丈夫だよ。私も一緒だから、恋はハンター協会の命で監視にくるだろうし」
違う、分かってないよ姉さんは。大伯父さんはヴァンパイア因子を眠らせてるけど体に流れる血は玖蘭だ。玖蘭家は最も始祖の血が濃くてその血を与えられた者は相当な力を得られる。
その血を持つ者が非力な人間となれば、格好の餌食だ。
(協会長に言って優秀なハンターを派遣してもらおう)
「私と恋で大伯父様を悪いヴァンパイアから守るから」
「愛、ありがとう」
意気込む又姪ににっこりと李土は笑う。
記憶にはないけど、活発な彼女にどこか既視感を覚えて懐かしい気持ちになる。