許されたいと願う春の午後にE

「と、まぁ…こんな所だ。別に面白くもなんともねーだろ?」

困ったように笑うアキラは彼らを見渡した。

あのときの出会い以降アキラはケイナに保護され、そして理事長に会うまでは軍での生活が始まった。

そのころ、アヴダクターの襲撃が酷く海兵隊だけでも対応が出来なかった。
能力者に目を付けた陸軍はケイナ等多種多様な能力者を集めることに、余念が無かったのだ。

そしてアキラもその一人だった。

想像以上の彼の過去に誰も声が出なかった。

「その後どうなったの?アキラ」

続きが気になり、言葉を紡いだのはゼシカだ。
それに同意するように周りの人間も頷く___。

「ん?あぁ、予想通りケイナが乗り込んできて…殴る蹴るの無双だったよ。
間違えて俺を蹴りやがったしな!こっち大怪我してたんだぜ?酷くね」

たしかに彼女ならやりそうである。

だが、誰もその事は口に出さなかった。

常日ごろの彼女と名前の日常を見ていたら、あまり彼女の機嫌を損ねるのは得策ではないことを学習していたからだ。

「アキラ君が…無事で良かった」

ぎゅっと彼の両手を握り締め、微笑むユノハ。
その愛らしい表情はホントに可愛らしい。

「くっ…可愛いな、ホントにっ」

唇を噛み締めて悶々とするアキラ。


「ほら、邪魔よそこの変態」

「ぐはっ!」

容赦なく吹き飛ばされる彼に誰もが目を見開く。

突然のことだったからだ。

「ケイナ!いきなりとび蹴りすることねーだろ!!
さてはお前、ドナール教官との仲…うまくいってねーから当てつけだな」

にやりと笑って確信をつけば、彼女の肩がぴくりと反応する。
やっぱりそうだ。

「ほんっとーアンタのそーいうとこ、嫌いだわ!ムカツク!!」

きぃいいっと敵意むき出しのケイナ。
それをあざ笑うアキラの構図が出来上がりだ。

周りは巻きこまれないようにいそいそとその場を後にしようと、行動に移る___。


「言い忘れてたけどな、ケイナはドナール教官と     らしい」

「「「えええぇええええええ!!!?」」」

見事、と言わんばかりに全員の声がそろった。
彼らにとって学園史上最大の衝撃だった。