私の愛犬のレイはとても優秀で良い子だ。一緒にのんびり歩いていても、率先して私より前には行かず歩くペースは早くても同じペースでだいたい一歩後ろにいる

散歩の途中で運動が大好きなゴールデンレトリバーのために広い公園やドッグランへと立ち寄ればロングリードを付けてある程度自由に遊ばせられる
散歩用のショートリードから運動用のロングリードに変えて、一緒に走ったり遊んだりボールやフリスビーを取ってこさせたりなんていうのは自身にも意外といい運動になる。
そういうところが犬と一緒に過ごすメリットであり、やはり家族だなと思えるのだ

ひとまずフリスビーを投げて取ってこさせながら思考を働かせる


ゴールデンレトリーバーといえば、イギリス原産の主人の狩った獲物の回収をする猟犬で、頭も良くて普段は大人しい。
人懐っこいのが特徴であるが警戒心もちゃんとしているので番犬としても優秀。同じように他の犬ともすぐに仲良くなるが少々問題があっても体格の違いで上下関係の上位に立つことが多いと思う
犬の社会は基本オスがリーダーで体型至上主義という認識だ

基本的に無闇矢鱈に噛み付いてきたり、理由はどうあれ吠え続けられたりなんていったいろいろな意味での躾のなってないトラブルが主だが‥
そうした場合でも犬の中での上下関係がはっきりとすればそれ以降は大人しいものだ

最初に躾さえきちんとできていれば噛みつきもしないし吠えもしない。たまに吠えるとすれば正体の分からない音や不審者を見かけた時くらいだろうか
吠えるという行動は、警戒心からの場合が多いと聞く。

だから大型犬を見て吠える小型犬はきっと警戒しているのだろうとわかってはいても、犬社会の優劣は体の大きさで決まるので吠えないように躾けてあげるべきだと思う
最悪を想定すると大型犬が躾けられてなかった場合だが、そんなことは考えたくもないものだ


たまに噛み付くことがあったとしてもと犬同士のじゃれ合いや先ほども言った上下関係ので人を噛むことなんて滅多にないと思う。少なくともレイに関しては一切ないと言ってもいい

他の犬にも言えることだが万一噛み付いたとしても飼い主ならば躾をした上で犬歯を切断しているからそこまで問題はないはずだ
躾をしてるけど犬歯を切断していない場合はいくらないと愛犬を信じていても、万に一つあるかもしれないのでやはり切断しておいたほうがいい

だが躾をせずとりあえず犬歯を切断するだけで終わらせるのだと大問題だ。
噛みつかれても怪我をしないのは当然だがそもそも噛みつかないよう躾けているわけではないので噛み癖だったりといったものはいろいろな意味でトラブルのもととなるのだ


そんなことを思い考えていたが今は犬の話を考えている場合ではない。いい加減犬に関する話は割愛し肝心な本来の目的の話を進めよう。



―――



レイと共に散歩に出かけたのにはもちろん目的と理由があった。日課であるということの他に下調べという目的で、理由はいわずもがな‥。

公園で遊び終えたあと途中見つけた自販機で飲み物を買い、彼の住む米花町2丁目の周囲も散歩をする。

米花町2丁目にはあまり来る機会がなかった。昔彼の家へいったことはある
それ以外にあるとすれば気分転換に普段通らない道を探索しつつの散歩をしていたときに通ったくらいで、そのときは特に考えなしに適当に歩いていただけだ

スマートフォンを取り出しながらトロピカルランドからの帰路や最寄り駅からの新一くんの家へのルートを調べてある程度把握しておく必要はある
彼の家の付近は自分の家の周りも似たような感じだが閑静な住宅街といった言葉が適切だろう、道幅もそこまで広くはないが普通自動車同士だとぎりぎりすれ違える程度といったところだ。

私の知る限り周りが暗かったので夜であるという時間と雨が降っていたというタイミングしかわからない
なんとか接点を作らなければならないと考えていたが、その道を通るであろう彼とは出発点と到着点を考えそこに至るどこかであえればきっと容易いことだ。

容易いとは思ったがどこかで会うにも会えない可能性もある。それは彼がどんな道を通って帰ってくるかなんてわかるわけも記憶しているわけないわけで‥

彼の通る可能性のある最短ルートや雨宿りしつつ帰れるルートや人や車通りの多い大通りルート少ない裏道ルートなどいくつかのパターンを考えながら犬の散歩と称して米花町2丁目を練り歩く

それが今回レイを連れて米花町2丁目まで赴いた理由だ



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辺りもすっかり暗くなりいくつかの道を考えて歩いた結果、少なくとも考えていた幾つかのルートの途中にある交差点の付近が適切かとおもった。
その交差点は数十メートルの直線道路だが横断歩道が3箇所あり、駅方向からまっすぐ向かってくると
一つは家とは逆方向でわりと歩いて回り道する普通の交差点、もう一つは近いけど逆に行き過ぎる押しボタン式の横断歩道、残り一つが交差側は短く道路側の青信号の時間が長い交差点だ。

最後に言った交差点は駅から家へ向かう際に一番青の時間が長く近くにコンビニもあり、外をぶらぶらと歩きまわるより待つには適切な場所かもしれない

ついでにいうとそこのコンビニは屋外に雨除けとベンチ付きのなんとも私のためにあるかのような親切な場所である



下調べを終えたわたしは帰路につく

今思えばとても長い散歩だった。公園で遊んだ時間は30分程度だが歩きまわっていた時間も合わせれば家をでてから2時間は超えている
可能な限り早く帰れるであろうルートを選び足早に歩く

昨日までコンクールと観光を兼ねて海外に行っていて、その間は裕里香ちゃんと頼んでいないのに何故か理人くんもレイの世話をしてくれていた

しかしファッションデザイナーとして働く裕里香ちゃんは普段アトリエで泊まり込みで生活をしている。
だからといって四六時中仕事と向き合っているわけでもなく、程々に息抜きとして趣味で油絵なんてものも描いていると聞いている。そういった意味でもアトリエで生活をしているわけだ

昨日は疲れて寝てしまいたまの機会の一緒の夕食も取れなくて申し訳なさもあるが割りとすぐに会える距離だしたまに帰ってくるのでお互い気にしていない。
つまりそれぞれ一人暮らしを満喫中なのである


家に着いて犬用品を片付けレイの毛を梳かしたり、足を拭いて室内へ入れてあげれば後はもう夕飯の準備に取り掛かるだけ
もうすでに夜ではあるが旅先に持っていった荷物の整理や洗濯なんかもこなせば時間はあっという間に過ぎていく
一人暮らしで大丈夫かと主に理人くんに心配されたこともあるが家事全般はなんとかなっている。こういうところも恒例の前世の記憶さまさまである




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次の日はそれこそコナンくんに会うという予定、というよりも目的しかなかった。
だからというわけでもないが、物語が始まるという興奮に似たものや本当に大丈夫かと言う不安やら色々あってか布団に潜ってもなかなか寝付けず気づけば明け方午前5時。
長時間の散歩なんかで疲れ切っていたはずなのに一向に眠れる気配を感じず、流石に寝ないのは問題があると無理やり寝入れば寝過ごして、夕方午後5時に至る。

寝付いた時間が不健康なせいか、睡眠時間も狂ってしまったというわけだ。一日を無駄にしたと言っても過言ではないほどに狂いすぎだ


そして今現在この目の前の状況を把握するために寝すぎた頭で考えるのだ


寝坊した私は着替えて昨日下見していいと思っていたコンビニのそばのベンチに向かった
そこについてちょうど雨が降り始め、知っていたのに傘を持ってなかったとコンビニに入りビニール傘と紙パックの飲み物を買ってベンチで雨宿りしながら通りかからないか待っていようと思い至り

そして紙パックにストローを差し込みそれを飲んでいると思った以上に雨脚が強くなり、この雨で傘もささず歩いているのかと思ったら座って待機などできるわけもなく
とりあえず交差点に向かったところで彼が視界に収まったというわけである


(‥遭遇できてしまった)


しかもこんなに簡単にあっさりと

雨に濡れていることも然ることながら、なによりも指摘すべきはそのブカブカの服装であろう。いくらなんでも大きすぎるとかそんなことに触れるべきか悩みつつそちらへと歩みをすすめるのだ



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