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02


「ここはどこ?」

気がつくとどこかの建物内にいた。
大きな窓ガラスに囲まれた廊下は長く、いくつも扉がある。窓の向こうの景色は一面真っ青な海で、既に陽は傾き始めている。

この通路に人が通るのは……5分に2、3人ペース。
どんだけ通らないのだろう……と思いながら少しだけ歩みを進めると、あることに気がつく。

通り過ぎる人は皆同じような服装で、違うところといえば、色だったり肩の装飾の柄だったり、胸元の部分の作りくらいだった。
何かの制服?と思ったが、見覚えは全くない。

そんなことを思いながらどうしようかと立ち尽くしていると、誰かと肩がぶつかり、何故か逆上した相手の男に腕を掴まれた。
掴まれた痛みに動揺しながらも、思った以上に強い力に身動きが取れない私はされるがまま。

「ちょっと!やめてください!!」

声をめいっぱい張り上げた途端、私の腕を引っ張った人の動きが止まった。

「なんだ?上官に逆らうつもりか?」

上官?
何を言っているのか理解が追いつかぬまま、ふと目に入ったのは男のもう片方の腕。その手は今にも私の身体に触ろうと、こちらへ伸びている。

………ちょっと待って。これって、危ないパターンじゃない?
このまま拉致……なども考えられなくも無い。そう思ったときだった。

私の腕を掴んでいた男の腕が、離れた。



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「大丈夫か?」

同時にさっきの人とは違う人の声がし、反射的にその人から離れた。

「……大丈夫、だと思います」

正直のところ引っ張られた腕は痛むが、こんなところで迷惑をかけるわけにはいかない。

「見せてみろ」

男の人は私の腕に触れる。
そのとき、初めて私はその人の顔を見た。

「マッキー!!!」

「ん?」

「……あ」

くちにしてからしまったと思った。……彼は私のことを知らない。

「すみません……知り合いに、似てたので……」

「何故、その呼び名を……」

やっぱり。目の前の美丈夫は目を丸くして私を見た。

「どこでその呼び名を?」

「え……」

貴方の嫁で、そうやって呼んでます。とはさすがに言えそうもなかった。言ったところで不審がられるだけだろう。

「……すみません、人違いかなと。本当に申し訳ありません!」

普通なら不思議な顔をするはずなのに、彼は目を細めて笑った。

「構わない。それより腕が」

「腕……?いたっ、」

「腫れているようだな」

言われて気づいた。
強く掴まれたところがどうやら腫れているようで、触れると重い痛みがはしる。

「来い」

訳も分からぬまま、私はマクギリス(に酷似している人物)に引っ張られるようにして歩き出した。





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