「やっぱり無かったね」

店員のお兄さんに聞いてみたものの、携帯の落し物は届けられていなかった。

「もしかしたら外で落としたのかも…」

心配そうな彼の顔を横目に、目の前の店の窓に目を移す。
天気は、よろしくない。
先ほどから少しずつ、ぐずついている。

「…この分じゃたぶん、もう少ししたら降ってくるね。水没の危険性大」

「あー困ったな。結構大事なものとか入ってたんだけどな」

「…それはそれは、ご愁傷様というかなんと言うか…」

私たちがカウンター席に座りながら窓を眺めていると、ぽつ、ぽつ、と例のやつらがやってきた。

二人同時に息を飲む。
ほーすけくんが先に立った。

「ごめん。オレ、事務所からここまでの道をちょっと探してくるから、もふこちゃんはここで待ってて」

「え、いいよ。私もいっしょに行くから」

置いていく気か、と睨む。
あ、いやそういう意味じゃなくて、と焦るほーすけくん。

「まーいいよ、早くしないと携帯濡れちゃうし」

「え。あ、ああそうだね」

「よし、早く探しにいこう」

そうして私たちは、牛丼チェーン店から出て行った。




 


-Suichu Moratorium-