私を突き刺す冷たい目。
まるで、有刺鉄線で縛られているかのよう。
動く度に、鋭い棘は深々と突き刺さり、傷を癒すのを許してはくれない。
ああ、まるで、マホウトコロに居た時と同じだ。
「アキカ……」
アリシアが心配そうに、手を繋いでくれる。
微かに力が入るその手にハッとする。
そうだ。
私はもう、独りじゃない。
−私がもっと上手く防いでいれば。
−私が結界ではなく、相殺させていれば。
ずっと、後ろばかり見ていた。
ただ何事も起こさず、模範生として、任された2年間だけ、誰にも事件を知られぬように。
ただ、そんな事ばかり考えていた。
前を見ないのは、怖かったからだ。
そして……
『楽』だったのだ。
後ろしか見なければ、思考を止める理由になった。
私がなりたい大人はもっと、違ったはず。
私は
私は、
母のような芯の強い女性になりたいんだ。
異国の友人達は、いつの間にか忘れてた、その目標を思い出させてくれた。
さぁ、息を吸って。
背筋を伸ばして。
顔を上げて。
凛と胸を張って。
かつて、なにかの時に母が言ったように、自分に言い聞かせる。
私を軽く押し出す、あの暖かい手を思い出す。
「2人とも、ありがとう」
声をかけると2人はほっとしたような顔を浮かべた。
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