−皆様へ

ロンドンの秋はあっという間に終わり、だいぶ冬らしくなってまいりました。
そちらは、いかがお過ごしでしょうか。
ホグワーツの先生方や学友の皆様は、新参者の私にも大変良くして下さってます。
マホウトコロでは習わない西洋魔術は、刺激的で毎日勉学に励んでおります。
やっと羊皮紙と羽ペンにも慣れました。

なんと、ホグワーツには「悪戯仕掛け人」というすごい名称が付く双子がおりました。
同学年には見えない程、大人らしいかと思えば、大小さまざまな悪戯を仕掛けており、彼らを見ると笑ってしまったり、ヒヤヒヤさせられたりと忙しいです。
また、同室のアンジェリーナは、本当に優しい子です。
初日から私に親切に良くして頂いております。
アンジェリーナは、女の子なのにクディッチの選手なのです!
言葉に出来ぬほど美しい箒捌き。
あとは、前述しました双子の息ぴったりの連携プレー!
本当に素晴らしいのです!
まるで片割れの考えが一寸違わず分かるような、距離など関係なく会話出来ているような連携で、ブラッジャーを読めない動きで当てるらしいです。
…実はまだ、遊び程度の練習しか見ておらず、実際に当てるのは見たことがないのです。
ですが、軽い練習でも、普段の会話でも双子の連携プレーは信じられないくらい凄いのです。
十分の一程しか魅力をお伝え出来ないと思いますが、今度あります寮対抗試合の写真は必ずお送りいたしますね。

さて、お母様にお願い申し上げます。
ハーマイオニーという、好奇心旺盛で知識を得る事に喜びを感じる子が友におります。
彼女を見ていると、私も勉学により一層精が出るほど、何に対しても熱心なのですが、最近日本語の良い参考書が手に入らず悩んでおります。
力になれたらと存じますので、お手数お掛け致しますがお母様に初級〜中級の参考書と絵本や児童書を見繕い、送って頂きたく存じます。
なんと、入学前に一年生用の教科書を全て予習したような子ですので、なるたけ多くお願い頂けませんでしょうか?

最後になりましたが、クリスマス休暇に、皆様にお会い出来るのを心待ちにしております。
お話したい事が沢山あり、時間が足りるか不安になるほどです。
これからより一層、寒さが強くなりますがお身体に気を付けてお過ごしください。


カドクラ アキカ



8つ頃、学年末試験でトップを取ったときにお父様から頂いたモンブランの万年筆。
手にしっとりと馴染み、5年使っていても丈夫に思った通りの美しい文字を綴ってくれる心強い相棒だ。
マホウトコロでも、ホグワーツでも、なかなか使う機会が無いのが残念なほど。


机に置いた時計を確認すると、就寝時刻にはまだ時間がある。
今日中に出そうと早る気持ちを抑えきれず、ローブを羽織ると部屋を出る。

談話室はいつもの如く、多くの寮生で込み合っていた。
なるべく本人達の邪魔をしないように、避けながら出口にたどり着くのも一苦労だ。


「あら、アキカどこに行くの?」

「家族へ手紙をだそうと思って……。ふくろう小屋に行ってくるわ」

後ろから掛かった声に振り向くと、比較的広いソファーでハリーを混ぜながら、熱を上げながら話していたクディッチメンバーの中から、私に気づいたアリシアが顔を覗かせていた。

聞くところによると、入学まで全く魔法に関わらず生きたハリーはクディッチを知らなかったらしい。
おそらく、ハリーへのクディッチの説明のはずが、いつの間にかクディッチ論議になったのだろう。
ウッドのクディッチへの愛を熱く語られているハリーは困ったような顔をしていた。


「ハリー!頑張ってね!」

色々な意味を込めた頑張って≠セったが、どうやら伝わったらしい。
弱々しい笑顔に笑顔とガッツポーズを返し、扉から外に出る。
暖められた談話室とは異なり、冷えた空気に一瞬体が震える。




足早に中庭を駆け抜け、ふくろう小屋へ向かう。
まだ10月前だというのに空気はすっかり冬模様になり始めている。


「漏れ鍋へよろしくね」

手へ擦り寄り甘えてくるふくろうを柔らかく撫でながら頼む。
ホー、任せろというかのように鳴くとエアメールを咥え、力強く飛び立った。
もう星がチラチラと見え始めている空に颯爽と消えていく。

1番星、2番星、あれはスピカかな。
手をすり合わせながら、日本とは比べ物にならないほどの澄んだ夜空を眺める。
時折吹く風がマフラーのない首元や足下から吹き込み、体温をどんどんと奪って行く。

うう、寒い。
談話室の暖炉が恋しい。
これ以上体温を奪われないように縮こまりながら、城へと駆け込んだ。


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