愛してる


風呂掃除は俺の仕事となっている。面倒だからバイトに行く前に行っちまう。そりゃ、ご飯作らないし、洗濯もやってもらっているから、これくらいはやれと言われたからやるのだ。

にしてもなまえさんは多少面倒くさい。本人は適当なくせに俺の風呂掃除には厳しい。
ただ簡単に洗う毎日の仕事の他に、一週間に一回使い終わった歯ブラシで細かい所を掃除するように指定してくる。

「なんで、そこまで…」
「だって綺麗にするところが汚いとかありえない、しっかりやってくれないと追い出すから」

脅しととれる発言に、やはり首根っこ掴まれていることを悟った俺。



土曜の午後、いつもより風呂場を丁寧に洗い終えた。

「…これ、俺の体じゃこの狭い風呂場キツいんだぜ?」

コタツに入りながらクッションに背中を預けてTVを見ているなまえさんに言う。

「文句は不動産屋にでも言ってよ、大概アパートは0.75坪のユニットバスよ。文句あるなら出て行くのも手じゃない?」

サラッと真面目に返された。暗に面倒くさい、なまえさんやってくれと言ったのだが伝わらなかったようだ。むしろ伝わっているからこの反応なのかもしれないな。


冷たくなった足をコタツに入り温める。このコタツは俺がどうしても欲しくて先週頼み込んで買ってもらった代物だ。

「あー、あったけぇー、なまえさん愛してる」

コタツを撫でながら言う俺。

「コタツに言えば?」
「おー、愛してるコタツ〜」

ジンジンと冷たかった足があったまってくるが、まだまだだ。
だからコタツの中のなまえさんの暖かい素足を捕まえようとするがビクッとして逃げられた。しかし絡ませるように捕まえた。

「冷たいっ!」
「俺働いてきたんだ、温めてくれ」

両足でなまえさんの足の体温を奪うように足で撫で回す。

「お風呂洗っただけでしょ?それよりも外で働いた方が懐は暖かくなるんじゃない?」
「そうだなぁ…うーん、今はなまえさんの足で我慢しておく」

呆れながら嫌な事を言ってくるなまえさん、そんななまえさんの足に絡ませる。

「だから私の体温を奪うな、私の懐まで寒くなる気がする!つーか最近夜までココで寝てるでしょ!電気代かかるから!」

悪態を吐かれながら足をゲシゲシ蹴られる。それは冷えた足には堪えるぞ。

「いてぇ!爪当たったぞ!俺さみぃのだけは本当無理なんだ」
「ふん、知らないから。分厚そうな肉ついてんじゃん」
「ははっ、おめさん肉ついてないわりに寒くないんだな」
「はぁ!?」

視線は胸元にいく。小さくもないがいたって普通に見える。この人下着だけは自分の部屋に干すからブラのサイズも分からないしな。んな事気にしなくても興味ないっていうのに。
そんな俺の目線に気付いたのか怒るなまえさんだ。

「はぁ…今日の夕飯、新開君の好きなやつにしようとしたのに残念」
「…いやぁ、なまえさん!いい肉つきだと思うぞ」
「はい、しゅーりょー。また今度ね」

ニヤニヤ笑うなまえさんだ。

「言って損したな」
「ふざけんな」

俺の胃を人質として取られているから頭が上がらない。いや懐も取られているからなぁ。夕飯は予告通りに普通のご飯だった。が、美味いんだこの生姜焼きも。

「なまえさんの料理の腕と金は愛してる」
「出てけ、ヒモ」

主語を明確にしてビシッと賞賛コメントをしたら怒られた。出て行かないぜなまえさん。

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