マッサージ
この前バイトをしていたら、なまえさんが客としてやってきた。もしかしたら会社はそれなりに近いのかもしれない。
それよりも問題な事は男連れだった。どう考えても上司とかではない雰囲気なのは分かる。
「顔見知り…」
僅かになまえさんの声を拾う俺の耳。
「っだよ、顔見知りって…」
無性に腹がたつ。
つーか、なまえさんもなまえさんだ。何ニコニコと話してるんだ?そんなに俺に笑わねぇ癖に。あ、その人結構短期だし面倒くさがりだぜ?ついでに足癖も悪いぞ?
しかしなまえさんが満更でもない気がしてなんか胸がモヤッとする。…いつもより綺麗にメイクしてるし、服装もいつもより良いし。
会計伝票を置きに行った時、なまえさんの雰囲気が強張る。なんで俺でビビるんだ?思わず机の上にあったなまえさんの小さい手を握る。するとギョッとした男となまえさん。ぶっちゃけなんて言ったかなんて憶えていない。
むしゃくしゃしながら午後を過ごしてアパートでなまえさんを待つ。
帰ってきたなまえさんは少し泣きそうだった。
「昼間の…」
なまえさんよりも俺が聞きたい。
「あいつ誰?」
この1メートルの距離がもどかしくてなまえさんの手首を握り上げた。焦るなまえさんが解こうとしてくる。
単なる同期っつー割には、満更でもなさそうだったじゃないか。付き合う気満々だっただろう。つい手首に力が入る。
「っ、新開君は私の何なのよ!?」
その言葉を聞いて我にかえる。あ、そうか、何してるんだ俺は...。とりあえず苦し紛れの言い訳をしたら脛を蹴られた。しょうがないので、これは甘んじて受けた。怒ったなまえさんが俺を振り切って部屋に籠ってしまった。
ヤバイな…すげぇ気まずい。どうするか、頭を掻いたところで何も生まれなかった。
「なまえさんあいつは止めといた方がいいぞ?」
「え?」
本日、ほぼ無言で進む夕飯を食べていた。その中、静寂をやぶり口を開いてみた。
「前も他の人連れて来てたからな」
「…そう、…なら…ありがと」
少しだけションボリするなまえさんに胸が締め付けられる。いや、間違った事は言っていない、連れて来てたのは男だったけど。
でもそれでなまえさんの雰囲気が緩んだから良しとしようじゃないか。
…
仕事、か…見つける気で見つけるかなぁ…でも、また一人暮らしっつーのもなぁ。
某求人情報場所に行き、机に顔を乗せながら唸る俺。そんな中目の前に映し出された求人票。あ、ここ悪くねぇかも…早速そこを受ける事にした俺。
ある日久しぶりのスーツを着る俺。
「…え、新開君どうしたの?」
ビックリするなまえさん。本当俺をなんだと思ってるんだおめさんは。
「ああ…契約だけど、今日面接なんだ」
「!本当!?法事かと思った!!」
それだけで喜ばれるっていうのも非常に微妙な気分だ。そして契約でもなく正規だ、何となく嘘をついてみた。
「ふふ、ネクタイ曲がってるし…」
そう言い俺のネクタイを直してくれるなまえさん。なんつーか、これ新婚みてぇだ…。いやいや、相手なまえさんだから!おかしいぞ最近の俺は。
「っ、はい…」
「あ、ああ、ありがとうな」
玄関まで送ってくれるなまえさん。
「じゃ、仕留めてくるぜ」
「はいはい、期待しないで待ってるから。夕飯何が良い?」
おお、なまえさんが優しい。
「じゃ、丼物が良い」
「りょーかいしました。いってらっしゃい」
「ああ、いってくるな」
ドアが閉まり、階段へ向かう。…つかなまえさんめっちゃ俺に優しいんだけど何あれ。思わずにやけそうになる顔を手で抑える。
面接の手応えはというと、良好かと思われた。会社の雰囲気も悪くなさそうだしな。ただ、そのせいか受けた人数が多かった。
「おかえり」
帰りが早かったらしい、笑顔のなまえさんが出迎えてくれる。
「ただいま」
「どうだった?」
「それなりだけど、やっぱり人数が多いんだ」
「ふふ、新開君なら俺なら余裕とか言いそうなのに」
少し意地悪そうに言うけど、本当なまえさんの中の俺どんなんだっていうんだ。
俺の部屋、もといリビングダイニングに入ると掃除機でもかけたのか、どことなく綺麗になっている。ああ、久しぶりのスーツは疲れた…そう思いおもむろにスーツを脱ぎ始める。
するとなまえさんが席を外す。…そうか、居にくいのか。この距離が今更すぎて不思議に思うなんてな。
夕飯は親子丼とそしてサラダ等で、もちろん良い味していて美味しかった。やっぱこの人の料理は最高だ。
「久しぶりのスーツは辛いもんだな」
「何言ってんだか、そのうちまた着るようになるって」
皿を洗うなまえさんがキッチン越しに大きなクッションにダラけた俺に呆れた声を放ってくる。
「なまえさん、俺を踏んでくれないか?」
家事が終わったなまえさんに甘えてみる俺。
「…どんな趣味?」
「…違う、マッサージして欲しいんだ」
その冷酷な目に少しビビる。俺は、あいつらと違うから変な趣味は持っていないぞ。そう思いながら薄い布団でうつ伏せになる。
「渾身の力で踏んであげる」
背後から怖い言葉が降ってくる。
「…いや、おめさん充分ウエイトありそうだから、そんな必要ないからな。軽くで良いぞ」
「今の新開君の言葉で余計に踏みたくなったんだけど」
とか言いつつ、丁度いい力で踏んでくれるなまえさん。あー、これ気持ちいい。
「足裏気持ちいいんだよね、これ」
「そうだな、気持ちいいな」
ギュッギュッと足裏を踏まれる。足や腰を適度に踏まれ、コリがほぐれていく。
すると俺の腰を跨ぐように座ってきたなまえさん。途端腰に暖かさを感じる。
「え、」
「しょうがないから、ついでに肩も揉んであげる」
そう言い肩もマッサージしてくれる。ヤバイなまえさん今日めちゃくちゃ優しいんだけど、何コレ、面接効果?
「なまえさん上手いな…すげぇ気持ちいい…」
気持ち良さにうとうとする俺。
「んっ…それは良かった」
ため息混じりのその言葉に何故か下半身が熱帯びる。っ!なんでだ、おかしいぞ最近、欲求不満過ぎるだろ。
…
翌日の土曜日に出掛けた俺。
声かけてきた女に引っかかり、ホテルに着いて行く。...がおかしな事にモノが立たない。いやいや、昨日あんだけで反応したのになんで立たないんだ?今日の女の子悪くねぇのに。
そして焦ると全く立たない。そんな相手も不思議に思うのか、口でしてくれる。いや、気持ちいいんだけどな。なまえさんのマッサージも良かったな…。気持ち良さから昨日を想像するとムクムクとモノが質量を増してくる。っだから、おかしすぎるんだ…俺のモノが。
中に入れてるのに、小さくなりそうな俺。っ、イヤイヤ、なんでだ。必死に色々想像して硬度を保つ。
エロネタ探して、前と一緒で指を口に入れなまえさんの指舐めまで思い出す始末…瞬間グンと硬くなる俺。っ悪りぃなまえさん。
動く俺に合わせて喘ぎ声が上がる。目を閉じてなまえさんの指舐めに神経を使う俺。あとついでに昨日の声も思い出す。こんな演技バリバリの声じゃないんだよなまえさんの声は…。
罪悪感とともにイッた俺。ヤバイぞ、なんで立たないんだ…病気かもしれない。
いつも通りアパートに帰る俺。違うのはしっかりとシャワーを浴びてきた事だ。
「おかえり」
「ああ、ただいま」
部屋に入ると夕飯作っているエプロンを着たなまえさんが居た。それに反応しそうになる俺…ああ、もう本当どうにかなんねぇかな。
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