我慢
遂に念願叶って、なまえさんの恋人に格上げされた。
あの日、同僚に誘われていた納涼会。納涼会と聞いていたのだが、行けば合コンだった。まぁ、食うだけ食ったら帰ろうとしていたら、相手になまえさんがいる衝撃。必死に目を逸らそうするなまえさんにどこかイラつきを感じた。
まぁ、さらなる衝撃は、なまえさんが処女だっていう話だ。なまえさんについての声は話すグループは違うがどこでも拾っていた。
…え、俺そんななまえさんの手を借りてあの変態行為させたのか?途端申し訳なくなった、そりゃ手が動かない訳だ。
極め付けは他の野郎とポッキーゲームをやるっていう話だ。
とは言ってもこちらも大人だから様子を見ていた。が、そんな姿を見て絶えられる訳がないんだ…ふつふつと湧き上がる気持ち悪さにゾッとした。
男が一口口に含んだ瞬間にそれは爆発した、呑気に見てられるわけがない。その役は代わってやった…なんしろ俺のあげたブレスレットしている時点で俺のものだからな。
数ミリ残しで止めようとしたが、あまりに困った顔で硬直するなまえさんが可愛くて止まらなかった。
手元のメニュー表で俺たちの顔を隠して、0センチの距離。固まっているなまえさんの口をこじ開け、押し返す舌を絡めながら唇の柔らかさと少しアルコールの残る口を少しだけ堪能しちまった。
そしてあまり慣れてなさそうな感じがさらに興奮した。だれがこんなトロンとしたなまえさんの顔を見せるか。
止まらなくなって、残すどころかなまえさんまで食べ尽くした合コンを後にした。そりゃあんな状態のなまえさん放っておけなかったしな。
部屋に入ってなまえさんの初物を貰おうとしたら、まさかのストップ。しかもやたら可愛い理由に悶えながらのストップだった。
「…なぁなまえさんせめて一緒にシャワー浴びたいんだ、ダメか?」
なまえさんの柔らかい身体に背後から抱きつきながらお願いする。ふわりと香るお酒の匂いとなまえさんの香りが鼻をかすめる。
「絶対なんかするからダメ」
ジトッと濡れた瞳で俺を見てくる、いや睨んでくるというのか…まぁ可愛いけどな。さすがというかよくご存知で、あわよくばと思ってたのにな。
「じゃ、何もしないから一緒に寝たい」
「…なら、良いけど」
お互いシャワーを浴びて寝ようとする。
「…なんで半裸?」
「いつもだろ?暑いし良いじゃないか、おめさんは着てるんだし」
「〜っ」
電気を消すと外からの光がカーテンの隙間から入り静かな空間になる。そんな中、手探りでモゾモゾと布団にいるなまえさんの隣に横になった。
そしてなまえさんに触れるだけのキスをする。もう散々我慢させられたからまだまだ足りない俺。やべぇな…これすげぇ幸せだ。なまえさん美味しい、柔らかい気持ち良い…。
俺のそんな心知らずにそっぽ向いて寝ようとしているなまえさんを背後から抱き締める様にする。ビクッとしてなまえさんが腰を引こうとしているが逃げさせない。
「…っ立たせないでよ!当たってる!」
「ははっ、そりゃ無理な話だ」
構わず押し当てる俺のもの。
「色々しないから、これくらいは許してくれ」
「…もう」
あとこれも許してくれ。そう思い背後からペロリと耳を舐める。
「ひゃっ!」
「お、おめさん耳弱かったか?良い反応してくれるじゃないか」
「ぁっ!何もしないって言ったでしょ?」
「これくらいはスキンシップじゃないか。おめさんが気にし過ぎだ」
「おめさんウエスト細いな。尻の肉つきも俺好みだ」
耳を手で押さえるなまえさんの身体のラインをなぞる。そして調子に乗って、色々と物色し始める俺の手。
「…あんたね…っもう!新開君の言葉色々と信じられないんだけど!?」
「……悪かった」
さっきよりも本気なその言葉。あぁ、それを言われちゃダメだな。明らかに拒否の言葉にすんなり手を引き、暗闇の邪念を無くそうと目を閉じた。
「……怒った?」
数分するとなまえさんから放たれる言葉。それに寝たふりで通す俺。だって俺だって健全な男だ、好きな人と暮らしていて手を出しちゃいけない状況で我慢してきていて、想いが通じても深く触れる事が許されないのだがら多少いじけても良いはずだ。…って子供かよ結局。
「…あのね、付き合ったことはあるんだけど、…こう、えと初めての時痛くて、無理で出来なくて…、その面倒って言われて、え…とそれでそんなんで…怖くてゴメンね、いい歳なのに…」
あぁ、もう…そんな泣きそうな声を聞かせてくれるなよなまえさん。
体制を直すかの様に無言で抱き締めながら頭を撫でて寝た夜だった。俺、そんな事思わねぇよ大切にするから。
…
「新開君、朝」
目を開くとなまえさんが起こしてくれていた。どこかボサつく髪型しているのに気を許してくれているようで何か嬉しい。
「…寝起きのちゅーが欲しい」
そんな事を言うと案の定困ってるなまえさん。どうするのかと思ったら近づいてきて頬に可愛いキスを頂いた。
「…これでい?」
「ああ」
俺の機嫌を伺うように言うなまえさんを抱き締めたい衝動に駆られるが、固く手を握りしめてぐっと我慢した。
…がっついたらダメだ。
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