薄紅色
「なまえさんが雑誌なんて珍しいな」
仕事から帰った私がもつ紙袋を指差しながら"普段小説くらいしか読まないだろ?"と聞いてくる新開君に素直に"ちょっと表紙で…"と曖昧に言いローテーブルの下に袋に入った雑誌を置いた。
そしていつもと変わらない食事をして、夕飯の後は各々自由に時間を過ごすのが日常。
しかし本日は少しだけ違う。鼻歌が交じりそうな私がお目当てのものを取り出す…そう、先ほど買ってきた雑誌だ。その雑誌をTVを観ている新開君の横で開いた。
なぜ買ってきたか?それは密かに応援してきた俳優が表紙だったからだ。しかも半裸、所謂表紙買いをしてきたのだ。
手に取り隣の新開君にこの小躍りしそうな喜びを隠しながら表紙を拝む。そして特集ページを開いてコラムを読む。
予想していたコラム内容が意外と過激で一瞬戸惑う手。…あれこれちょっとエロいやつだと気付くという抜けた私。
でも少し興味が湧いて、目的の特集ページだけでなく他のページもめくった。色々と突っ込みどころがある内容だがネタ的には面白い、たまにはこんな雑誌も悪くないなと目を通す。
そこに飛び込んできたフレーズは"男の乳首は開発出来ちゃう!"というものだった。ハートが乱舞するフレーズに思わずクスッと笑う。新開君は笑った私を気にもせずに面白いらしい映画を観ていた。
その間、書いてある乳首の開発方法をじっくり読み込んだ。あ、やっぱり時間かかるのか…少し残念のようなそうでないような気持ちで横にいた新開君をチラ見した。
"彼の気持ちイイ顔みたくない?"というお気楽なフレーズが載ってる雑誌を閉じて部屋の端によせた。
大きなクッションに寄りかかってる新開君のTシャツの上から、しっかりと筋肉がついている胸板をなぞった。
「ぇ!?」
「あ、ちょっとごめんね」
少しビックリして顔を私に向けた新開君に謝りながらも、這わせる手は止めない。Tシャツの上からも分かってきた乳首を円を書くようになぞる。
「…どうしたんだ?なまえさん」
「…たまには…やっぱりダメ?」
「そんな事言われたら、ダメな訳ないだろ」
しまったかと思い苦笑いする私の頬にチュッと音を立ててキスをしてくるあたり新開君は手馴れてると感じてしまう。そしてそれが嬉しく感じてしまう私、でも少しだけ悔しかった。だからこその今日のこの行為だ。
今日の私の目的はこれとばかり新開君のTシャツを引っ張り、お目当てのものが見えるところまで捲り上げた。
正直、男性なので飾りのような乳首だから今日みたいにじっくり見たことはなかった。程よく焼けた肌に薄紅色の乳輪、焼けた肌のせいか少し茶色味がかった茶色だった。
「…なんだか新開君っぽい乳首だよね」
「なまえさん俺っぽい乳首ってどんなだ?」
「なんていうか、いやらしい」
私が新開君の乳首を見て正直な感想を言ったら咳き込んだ新開君。そんんな新開君の乳首に手を這わす。
「なまえさんの乳首も可愛いよな、こうするとすぐたっちまうし」
少し楽しそうに、指先で私の乳首を摘むようにする仕草をする新開君。その手を見て、恥ずかしくて目を逸らした。
「っ、今日は試したい事あるから新開君は手ぇ出さないでね!」
そう頼むと"しょうがないなぁ"とばかりに触らせてくれる新開君。
ええ…と最初は優しく撫でていく…だった筈…雑誌の内容を思い浮かべながら両方の乳首を撫で回した。少しだけ身じろぐ新開君の顔を見ると普段と変わらないけれど少しだけ気まずそうだった。
「…」
「…ふふ」
「なんだよ、なまえさん」
「え、可愛いなぁって」
「それ言われても嬉しくねぇぞ」
ため息をつく新開君を他所に乳首の根元を立ち上がらせるように優しく引っ張り上げた。ツンと控えめに立ち上がったそれは、触ってくれと言っているかの様に主張していた。
立ち上がった薄紅色の乳首を手のひらで撫でる様に刺激をした。
「…っ」
「感じる…?」
「くすぐってぇな」
苦笑いしながらいう新開君につられて笑う。
本に書いてあったのは、男性の乳首を開発するのには長い月日がかかるということだ。さすがの新開君もそんじゃそこらでは感じないという事だろう。
しかし、指で撫で回していたら、先ほどよりも硬くなる乳首に指を舐めてから手を這わせた。クリッと圧し潰すようにしたり、つまみ上げたりと考えるといつも新開君が私を愛撫する時と同じ気がする。
テラテラと光る新開君の乳首は先程よりもいやらしくて、どこか美味しそうに見えた私の目。新開君のTシャツをずり上げたまま、乳首を舐めてみた。
いたって無味、まぁ僅かに汗のせいかしょっぱい気もする。
「…っこれ」
「ん、何…?」
「っ、…これはなんだか照れるな」
少し腕で顔を庇いながら恥ずかしそうに照れる新開君に少し胸が高鳴る。そんな顔あまり見た事ない…そのせいもあってか触ってるのは私なのにどこか上気した表情が移ってきそうだった。
「ん…もっと舐めてあげる…」
「いや…っ、」
少しの間舐めたり、舌先で突いたりしてら熱い吐息が聞こえてきたので喜んでるのかと思ってそう言ったら新開君からは戸惑いの声。それにえっ?と聞き返すと泳ぐ目線。
「いやぁ…」
「"いやぁ"じゃ分からないよ?」
「…なまえさんの舌が気持ち…つーか、なまえさんが舐めてるだなぁって考えると、その…溜まってたし出そうなんだ」
「…ならまだダメ」
「えっ!?」
言っている内容は主語やらはないけれど、先ほどから太ももに当たる…いや当ててきてる新開君の雄で意味はよく分かった。そう、当たっていたけれど無視していた。
その事実に密かにほくそ笑みながら、小さい乳首に優しく歯を立てながら舌先でなぞる。
「ふふ…今日は我慢出来るんだね」
「…っ、なまえさんが触るなって言ったからな」
少し怒った風味の言い方も快感に少し揺れてしまう身体の前では形無しだ。
その珍しい姿に"誘われた"と感じるのは私の中にも雌の本能があるからなのだろうか。雑誌の内容なすっかり頭から抜け落ちてしまい、ただひたすらに新開君の乳首を指で突いたり舐めたりした。
「…っ、なまえさん…っそれダメだ」
「ん…」
薄いジャージの上から硬く膨らんだ山をそっと触れた瞬間だった。ドクドクと波打つように動く物体と、暫くすると手のひらに伝わる熱い欲望。
「…もしかして乳首だけで?」
その事実が嬉しくて思わず気になる事を口にした瞬間、目の前は新開君の顔から天井となった。
「なまえさん覚悟は良いよな?」
時計を見て考えるのは、"明日の仕事忙しかったっけ?"
私の上から降ってくる息荒い声を聞きながら長い夜は始まった。
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