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図書館からの帰り道、自転車に乗って風を切りながらミサキとの会話を思い出す。

"好きな人"ねぇ。

中学の時いたといえばいたけど、告白やらそんなことを考えたことはなかったな。見てるだけで良かったし、っと言うことはそんなに好きではなかったのかな。付き合おうとか考えたことなかった。
高校に入って誰と誰が付き合ったやらそういう行為したとか話しになったりもするけど、実際自分がとはなんだか考えられない。恋だか愛だかは落ちるものだとかよく言うけど、そんな簡単には落ちるかよと言い返してやりたい。

佐藤くん...か、仲良いとは思う。でも付き合うとかは違う気がする。とりあえずビール的な感じで付き合うとかするものなのかな?いや、それはまた微妙というか...あーもうテスト前になんていう話するんだ。
悶々としながら、ペダルを回す。とりあえず噂に過ぎないし佐藤くんは今まで通り接するとして、出来るのか私...何これ私のテストの結果を落とそうとする動揺作戦かミサキ!?

近くのスーパーを通り過ぎた瞬間、荒北を思い出した。夜の差し入れのベプシを買わなければ、方向転換して通り過ぎたスーパーに買いに行く。

冷蔵庫に冷えているベプシとそれだけじゃと思い適当なチョコレートも一緒に買う。
大きい口を歪ませてる不機嫌そうな顔が思い浮かぶ。荒北って"好きな人"っているんだろうか?いなそうなんだけど。そんなことをボンヤリ考えながら帰宅した。

自宅へ帰るともう夕方だった。テスト前の一日は長いようであっという間だ。で後々あの時勉強出来たなと思うのが常だ、分かっているんだけどさ。夕飯までまだ少し時間があるのでそう思わない為にも机にむかう。
夕飯を食べ終わり自室に入って、携帯をいじりながら教科書をちら見。一日それなりに勉強したので許して欲しい。


9時前に荒北からシンプルな呼び出しメールが届く。
数学の問題集をもって玄関を出た。本日も見事な星空だ。一応お礼のペプ○なので私が向かおうかと思ったら荒北が外でもう待っててくれた。グレ北時代もあったし、現在も言葉遣いは荒いけど意外と真面目で優しいやつだよね。

「お疲れ、はいお礼のやつ」
挨拶とともにベプシを渡す。
「どーもねェ」
すぐさまプシュっと蓋を開け飲み始めるベプシ中毒野郎。その姿を見てると勉強する姿がどうも想像つかない。
「勉強進んでる?」
「るっせ、余計なお世話だ」
いつもながらよく曲がる口ですね。
「そーですかー、余計なお世話でお礼がてら数問問題みようかと思ったのに...」
「......」
仏頂面の荒北に数学の問題集を手渡す。顔色変わらず教科書をペラペラ開く荒北。
「……これとこれェ」
どうやら人のお節介を受け入れる気になったらしい。思わずフッと笑ってしまった。そりゃそうだ追試とかになったら部活出れないもんね。

指摘の問題を見るとあることが分かった。推測だけど、一年の一部...サボっていた時期が理解不足で解けないんではないだろうか。多分そこを繋ぎ合わせればもっと荒北は出来るんだろうな、もったいない。指摘された問題を素人解説しながらそんな事を考える。
でもこれ以上勝手に関わるのは本気でお節介野郎になってしまうので、この辺が引き際だろう。

「あー...さすが優等生チャン」
「伊達に優等生演じてませんから〜」
私の解説で荒北はとりあえず理解したようだ、良かった。でも疲れた顔をしている。なのでそれから今日は昼間ミサキと勉強をした話、夏を楽しみたいとの豊富を語った。
あ、好きな人

「荒北は"好きな人"っているn「いねーヨ」
いやまだ全部言って無いだろうが。そう言うと
「今、部活で手一杯なんだヨ。そんなこと考えてる暇ねェ」
「あぁ、そうだろうねぇ」
荒北らしい返答に少し安心した。これで顔染めて"いる"と言う答えだったりしたら吹き出す自信がある。

そこから私は女子高生らしく彼氏でも作って夏を楽しむよと決意表明をした。
「ハッ せーぜー楽しんで成績落とすことだな」
「そっちは走り過ぎでこれ以上成績落とさないようにすることだね」

そんな世間話でお開きになった。走れなくてジメジメしている荒北はウザそうなので、精々勉強頑張ることだね。もちろん頑張れとは言わないけどね。



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