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1年の秋
ある日、また友人からある噂を聞いた。
あのヤンキーが自転車競技部に入ったとの噂だ。

その噂は真実で、荒北はあのコッペパンを切り落としてペダルを回していた。
野球のユニホームしかイメージになかったから実に新鮮だ、ただ見慣れない姿に何か戸惑ってしまう。



格段に寒くなりだした。気持ちも冷えていく...そう期末テストだ。

正直学力的にはワンランク落として入学しているから問題ないが、嫌なもんは嫌である。出来るだけ上位に食い込んで卒業がささやかな目標だ。今のところ順調だが、手は抜けないのだ。
勉強し始めると部屋の片付けもしたくなる行事も行いながらの日々を過ごす。


その中、テスト前の土曜夕方に一通のメールが届いた。

"数学の教科書貸してくんねぇ? 荒北"

予想外の人物からの連絡に思わず画面を二度見してしまった。そしてどこで私のメールアドレスを知ったんだ。

まぁ今日の夜は数学の気分じゃなかったから了承することにした。

"了解 これからご飯だから食べてから渡すよ"

そう、こっちはお腹空いてるんだよ。優先順位は荒北より夕飯だ。

食べてから、荒北に連絡。外に出るのに一瞬服に迷ったが、今まで着ていたスエットに上着というラフな格好で外に出ることにした。相手は荒北だし良いよね。

玄関を出て、白い息を吐きながら荒北をまつ。
数分すると、荒北はママチャリでやってきた。

「あれ、あのロードとかいうやつじやないの?」

「この距離いちいち乗れるかヨ…それよりも例のもの貸せ」

「いや、それ借りる態度じゃないよね!? まぁいいや、はいこれー落書きしないでね?」

荒北と久しぶりに話したけど、なんの違和感もなく話せる自分自身に少し驚きながら、教科書を手渡す。

「おーサンキュ みょうじチャン さすが優等生ー」

「はいはい、また学校で返して」

一言多い荒北をあしらい、別れて家に入る。
あ、しまった。なんで寮にいないのかとかメールアドレスのこととか聞かなかった
今度でいいか…とりあえず勉強だ。




月曜、学校に行き廊下を歩いていた荒北に教科書を請求した。すると荒北は頭をかきながら言い放った。
「あー悪りィ、家に忘れてきた」

「え、ちょっと、テスト前なんだけど!?」
普通忘れるか、いや忘れない。

そんなことじゃない今週末にあるテストどうしてくれるんだよ、問題集はあるけど、教科書がないのは厳しい。
いくら幼馴染だからといっても本人不在の中部屋を漁る気にはならない。結局、荒北は抗議していたけど、荒北の教科書を借りておくことで落ち着いた。寮なら他の人から借りるであろうから大丈夫なはずだ。

荒北の教科書は落書きなのか、寝ぼけてつけた線なものもあり、想像する"荒北の教科書"であった。落書きしないでねと私は言ったが、思わず落書きを追加してやった。


荒北の教科書で勉強したテストも終わり、開放感に溢れた土曜の夕方またメールが届いた。







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