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夏休みに突入した。昼間のTVも"夏真っ盛り!"的なフレーズからイベント情報を垂れ流している。毎日毎日よくやるよ。
家の中だと言うのに滲む汗。あー暑い。何着ていても暑いんだよね最近の夏は。
そんな訳でクローゼットの前にショートパンツやスカートを散乱させる。昨日選んだ時はミニスカな気分だったけど、朝起きてからまた悩み始めるよくある感じだ。昨日から用意した荷物を隣に服を選ぶ。
本日皆で海で、夜は花火だ。
どーしようかなぁ。
あ、コレだなリゾートっぽいマキシワンピース、夏休みっぽいんじゃない?そうと決まれば早い準備。
髪は編み込んでハーフアップにして崩れない様に念入りにピンで留める、華やかな花のアクセサリーをサイドにつけて完成だ。日焼け止めとメイクをして出掛ける。
約束の駅に集合したら、ミサキも華やかなアクセサリーをつけてポニーテールにしている。会った瞬間、海っていえばこれくらいしないとねっと盛り上がる。他の友人も合流してワイワイと海に向かう。
気分的には沖縄とか行きたい気分だけど、近場の海で我慢する。それでも海と大勢の観光客を見るとテンションが上がってくるもんだ。
順番に水着に着替えに行き、私は緩い半袖パーカーを羽織る。やっぱり少し恥ずかしいし、ジリジリ焼けてく感じが痛いし。
浮き輪をシュコシュコ膨らます。海はこれがないとね。重要だ、確実に溺れる自信がある。
来て早々海にもまだ入らないのにナンパされる。ミサキすげぇ完全無視だ、男達が舌打ちしながら、すごすご去って行く。
「ミサキかっこいいね!」
友人達が褒める。ミサキも笑いながら答える。
「なまえと居ればよく合うから慣れだよ」
待ってよ、それこっちの台詞なんだけど。私1人だとほとんど合わないから!ミサキをジト目で見ながら反論する。
強力な日焼け止めを塗る、後ろどうしようかな頼もうかなと思っていたら気付いてくれたミサキが塗ってくれた。
「なまえ白いもんね、焼けると痛いっしょ」
「ありがと、もうその通りだよね。数日痛くてヤバいから」
こうして塗っている間にもナンパが寄ってくる。華の女子高生4人のみは目立つのかもしれない。ミサキなんか
「すいません、今忙しいので」
と日焼け止め塗りながら平然というので、思わず吹き出してしまった。じゃオレが塗るよっていう野郎をやんわりと断わっていた。
「今日こんなんもやっているんだね〜」
海の家で渡されたチラシを見るミサキに私も覗き込む。
「あ、ビーチバレー大会?その時間になったら見てみる?ミサキ全中バレー出てたもんね〜」
その当時を見たかったなとミサキと盛り上がっていたら、突如友人の一人が食いついてきた。
「面白そうでしょ!?そんなこともあろうかと申し込んでおいたのよ!」
「「は?」」
思わず、ミサキと声が被る。
「え〜と、だぁかぁらぁミサキとなまえで申し込んであるの」
語尾にハートが飛んでるのが見える。え、なんでそうなってる。
「な〜んであたしとなまえなのよ?あんたが出なさいよ!!」
詰め寄り友人を突くミサキに何度も頷く私。
「だ、だって、ミサキのバレーはめちゃくちゃすごいし、なまえは水泳以外だったらなんでも出来るじゃん!体育のバレーだって基本二人で成り立つレベルじゃん!ちょっと見てみたくなったの!」
「「...」」
「...ほ、ほら景品も良いんだよ!?優勝はハワイだよ?他色々景品もついてくるし!」
「「目的はそれでしょ?」」
「えへ、過去入賞とかした人は参加できないから、意外と接戦だと思うし、ペアなら何でもいいらしいし、ミサキとなまえだったら良い線いくと思って、ご、ごめんね」
どうも愛嬌がいいから憎めないのが悔しい。
「「...」」
「...どうする?なまえ?こんな普通のビキニだけど」
え、何考えちゃう感じ?ていうかこんな目立つの嫌なんだけど、パンフレットに再度目を落とす。男女混合だろうが男だけだろうがペアならなんでも良いのか、男性に勝てる気はしないがミサキなら大抵の一般男性だったらいける気がする。ていうかミサキの目がやる気になっているよ、どうしよう。
「...はぁ、良いよ付き合うよ」
「ありがとミサキ!なまえ!」
「調子のんな!」
笑顔で抱きついてくる友人をミサキがデコピンしていた。
ミサキと二人で飲み物を買いに席を立ち歩き出す。
「全く、なんでこうなったかな〜」
「憎めないのがつらいところだよね、あの笑顔じゃ。セコンド立つって2人言ってたし」
「ボクシングじゃないんだから...なまえも悪いね付き合わせて、好きじゃないでしょ?こーいう目立つの」
あぁ、やっぱバレてました?
「まぁ、良いよ。ミサキとなら面白そうだからさ」
2人で笑いあう。体育でもミサキとのバレー楽しかったから、実は少し楽しみだ。
その頃
「...本当の目的はこれだろ?場を湧かせたり、目立つ選手に贈られる特別賞」
「あ、バレてた?二人のバレーが見たいのも本当だけどさ、この賞を狙うならミサキとなまえが出場でしょ?見た目もそうだけど実力もあるからね」
「そりゃあの2人なら適任だけどな」
「優勝が一番見てみたいけど、特別賞の景品も日帰り温泉とプラス景品で良いみたいだし」
「賞とっても、景品はミサキとなまえに譲りな?」
「アハハ、やっぱ?」
私たちのいないところでこんな会話がされていた。
開催時間になり、会場に着くと予想より賑わっていた。エントリーして話に聞くとそこまでレベルが高そうでないので出場者が多いとのことだ。2コートしかないので時間短縮の為、簡単に言えば7点先取らしい、デュースの際には2点差がつくまで続行されることもないらしい。予定では10点先取でデュースの際には2点差がつくまでセットが続行される予定で、決勝戦はフルで行われるらしい。それを聞いて安心した私だ、正直体力には不安があるし。
試合形式はトーナメント戦。優勝まで7回も試合をしなければならないようだ。ただトーナメント表を見るとテンションが上がってくるのは確かだ。
が、少し問題なのか問題でないのか、女性ペアは私たちだけだ。混合ペアはちらほら居るけど。そりゃ、なかなか出場しないよね!私たちだって、こんな事にならなかったら出ていなしもん。ミサキとこの問題について話す。
「やるしかないね」
ミサキの目が殺る気だ。間違った、やる気だ。ミサキはパーカー脱いでいるけど、さすがに私は恥ずかしくて羽織ったまま出場だ、許可を取った。まぁミサキはデニムのショートパンツ履いているしね。ミサキには本気になったら脱ぐと言っておいた。
第1試合
司会者のような男性が煽り文句風にペア紹介をする。私たちを”今大会唯一の女性ペア〜のミサキ&なまえ〜!!しかも現役JKだぁ!!”的な色物風のナレーションをしてくれた。それに沸き立つ観客。と少しイラッとした私とミサキ。ちくしょう色物扱いか。先ほどの友人達も背後から”負けんな〜!”と声援を送ってくれている、気持ちは同じ様だ。
「...やるよなまえ」
今度こそ殺る気だ。
「もちろんっ!」
私だって観客の予想通りになんてさせたくない。
相手は大学生くらいのニヤつく兄ちゃん達だ。最初のサービス権を”良いよ良いよ”と渡してくれた。"ぁ、ありがとぅございますぅ"っと遠慮なく笑顔でボールを受け取る私...ミサキやったれ!と視線を送りながらミサキにボールを渡す。ホイッスルと共にボールを放ち、飛ぶミサキはきれいだった。そう一点目はサービスエースだ。予想外の実力に対戦相手も観客も一瞬ポカンとしたが大歓声が上がった。基本私はアシストとして動くつもりがいかんせん2人だからそうはいかなく、もちろん私もミサキにはかなわないけどアタックなりブロックなりする。這いずり回って砂まみれだ。一回戦は危なげなく勝利し、ミサキとハイタッチする。
「さすがだねミサキ!!」
「なまえこそ!ここまでやれるとは思わなかった!ちょっと楽しいんだけど!」
「え、そう言ってもらえて嬉しいよ。でもこれ足場ホントきついね。でも私もなんだかんだで楽しかった!」
ミサキと次からサインを決めようとなり、組まれた観客席の裏で速攻でサインの打ち合わせを行う。完全にやる気になった私たちだ。
2回戦は混合のペア相手だ。ミサキがさらに殺る気になっていた、ご愁傷様です。2回戦も危なげなく勝利した。友人達がすごいすごいと褒めてくれ、うちわで扇いでくれる。調子いいなぁもう。
結構盛り上がっている歓声が聞こえる。そんないに面白い試合なら見てみようとコートに行った。
...コート内に見知った顔が太陽を背負って飛んでアタックを決めて試合終了となったようだ。
「「新開!」と荒北!」
思わず声をかける。やっぱ水着でもかっこいいわ新開。キャーキャー言われてたのもわかる。新開ファンでもないがかっこいい人は目の保養だ。
「おお!偶然だなみょうじ達、2人で来てるのか?」
「プラス2人でねー」
ミサキが答えている。
「テメェ新開、なに相手にしてんだヨ」
聞き慣れた声が近づいてくる。
「よっ荒北」
「は!!?っなまえチャン何してんのォ!?」
「前言ったじゃん、夏は海だって。皆で来てるのよ」
「そーかヨ」
なぜか気まずそうな荒北だ。
「何、二人でビーチバレー?」
「こっちだって色々あんだヨ、ボケなすがァ」「いやぁ、尽八が...」
簡単に話に聞くと、東堂君が夏は海だ、ナンパだ!と意気込んでそちらの二人とフクチャン連れてやってきて、このビーチバレーも申し込んでいたらしい。本来は新開とフクチャン、東堂君と荒北でペアだったらしいが、フクチャンはインターハイ後思うことがあって無心で遠泳しに行っているらしい。で、なら俺も出んよと言う東堂君に代わりに託されたのが荒北とのことだ。
「お前たち何しているのだ?って露出が高ーーーい!服を着ろ服を!慎みを持たなければならんよ!」
結局ナンパが無理だった噂の東堂君がヒョコッと登場した。に沸き立つ友人。
「私たちも参加しているんだよ」
「!話題のJKペアはおめさん達か!?」
そう勝ち進んでるよと続けて話す。
試合始まる前の呼び出しがかかるのでコートに向かいながら彼らに言う。
「精々応援しててよ勝ち上がってやるから!」
新開や東堂君は応援してくれた。先ほどから目を合わせてくれない荒北にも言ったんだけど、ほぼ無視に近かった。ま、これで勝ち荒北達も勝ったら次の相手は荒北達になるんだけどね。
ミサキとともにコートに向かう。徐々に観客も増えていってテンションも上がる。
3回戦の対戦相手はまたもや兄ちゃん2人だ。さっき少し見てミサキと話したけど一人明らかバレーは経験者っぽい。要は私たちと同じだ。
ホイッスルと同時に鋭いサーブが放たれる。しかし私も反応するが拾えなかった。ミサキにドンマイと言われながら、それから必死に食らいついて拾う。まだ、ここで助かるのはもう一人はそんなに上手くないことだ。それを見逃すわけもなくミサキは容赦ない、まあ向こうも容赦無く私に打ち込んでくるんだけど。
急に向こうの観客からせせら笑うような野次が飛んできた。
”服は脱げよっ!”
...私の事か。
その野次に皆が大丈夫?的な気遣う感じで目線を送ってくる。ただ荒北だけ期待している様な不敵な笑みを浮かべている。あぁ、さすがよくご存知で荒北、その不敵な笑みが目に入った瞬間思わず笑ってしまう。そう私はこんな野次に揺らぐような可愛げある神経はしていない。
大丈夫だ、脱いでやんよ、暑いと思っていたところだからね!
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