そんな日常を


10月にクラス対抗の球技大会が行われる。

9月も中旬本日のホームルームは、出場種目を決めるとの事だ。

朝配られた希望表前にミサキと話す。
「なまえはどうする?またバレー一緒にやろうよ」
「どうしようかな」
配られたプリントに目を移す。授業で行われる球技系の種目から2種目の出場しなければならない。ぶっちゃけ小学校から水泳以外は体育バカの私だから、運動会やこういう大会は昔から密かに熱くなっている。この球技大会も該当部活の人は出れないから、良い接戦になるはずだ。まぁミサキのように過去すごい人もちらほらいるけどさ。

「よし、ミサキ1日目はバレー選ぶよ」
「そーこなくっちゃ!狙うは優勝よ」
「フフッ、夏は不完全燃焼だったもんね」
あれ、女子だけならいけてたってミサキは思い返したように嘆いている。

「2日目どうする?ミサキ」
「バスケかな、なまえは?」
「んじゃ、バスケで希望出そうかな」
それぞれ希望表に書き込み体育委員に提出した。

放課後
1日目は希望通りになったが、2日目は希望者多くて被ってしまった。話し合いという名の探り合いが始まった。
と思いきや
「なまえはソフトボールでいいんじゃないか?」
鬼の一言...いや新開の一言で終了した。
「え、なんで?」
思わず、口にする私。
「大体何でもできるから、良いじゃんソフトで」
話し合っていたはずの友人達から後押しを受けた新開。あのみんな鬼に騙されていませんか?
多勢に無勢。私はソフトボール出場となった。皆、ソフトのルールよくわからないとの事だ、野球と同じ様なもんだってと言ったら野球のこともよくわからないと押し通された。
いや、いいけどさ。やるなら全力で、ホームラン狙うからな。野球好きな家庭に育っているからね!遊びがてらバッティングセンター連れて行かれたな懐かしい。他、卓球も家にあったし、冬はスキーだボードだスケートだで連れて行かれたな。そう思うとスポーツ好きな親に感謝だ。


話し合いと言う名の押し付け合いが終わった後、斜め前の席の新開を小突いた。
「何勝手に私の出場種目決めてんのよ」
「いや、できるだろ?」
サラッと言われて言葉に詰まる。
「普通にはできるはずだけど!......新開、もしかして早く終わりにして部活行く気だったんでしょ?」
「おお、ばれたか!さすがだなみょうじ」
「はぁ、さすがじゃないってば。新開もう決まっているんならもう抜けて良いんじゃないの?なんか言われたらフォローしておいてあげるから」
「すまないなみょうじ」
こっそり出ていく新開を見送った。つくづく良いやつだな私も。

間もなく全員、不満は多少あるものの出場種目が決まりお開きとなった。

いつも通りミサキと帰る。
「なまえ2日目気の毒だったね」
「ん?ああ何の問題もないよー、ソフトも全然余裕だから」
「本当陸地だと凄いよね」

そんな話をしながら、下駄箱に向かう。前からダルそうに荒北が歩いてきた。
「よー、荒北部活?」
「そォ」
「気をつけてね〜」
「おー」
去っていく荒北。

「...あんた達それで良いの!?」
「何が?」
「荒北君"そ"と"お"しか言ってないじゃない!」
「いつも通りじゃん」
「付き合ってるんでしょ!?あんな感じにならない!?」
下駄箱から手をつないで帰る同級生カップルを指差した。仲良く手をつないでひっついて帰るとこが見える。

「ないね」
なんだか想像するだけで違う。海の時はあの時限定だ。
「だぁから、あんた達付き合ってる事ほとんど知らないじゃん!」
「あー、隠してもないけど言うことでもないし。こんなので満足だよ?」
「!健気すぎる」
大袈裟に泣く真似するミサキ。いやいや、本当満足だって。
「メールとかしてるんでしょ?」
「そりゃ用事あったらするよ」
ちょっと送信履歴で良いから見せなさいよというミサキに見せた。
「...なんで毎日しないの?これなんで了解一言!?」
「事足りてるし」
愛してるーとか好きだよーとかないの!?と白熱するミサキ。うん、基本無いね私のキャラじゃない。

そして、色々言うけど何ていうか2人の時だと多少甘いし荒北だって。まぁこれは私だけが知ってれば良いことだから皆には内緒だ。

「まぁまぁ、人それぞれなんだって。付き合い方は」
「なにその余裕は?」
笑みで返した私だ。







夜寝る前に荒北にメールを作成する。
"お疲れ様。今度部活空いた週末にデートしようね"
とらしくない文章を送る。これでも5分くらい悩んで書き直した。ちゃんと語尾は通常つけないハートマークだ。昼間のミサキとの話ではないけど、用事があるからメール作成しただけだ。ハートマークはサービスだ。

あ、返ってきた。
"土曜午後 "
え!?これだけ?
瞬間電話がかかってくる。画面に"荒北"と表示されていて焦りながらボタンを押す。
「もしもし?どうした?」
「今度の土曜午後空いてっから」
「うん、じゃぁよろしく、ゆっくり休んでくださいー」
「......声聞きたくなっただけだからァ...じゃおやすみィ」
「あ....うん、ありがと、おやすみー」

...耳が赤くなりそうだ、たしかにいつも電話しないけどさ。ただ電話で良かった、普通に話せてたよね。
画面がホームに戻った携帯を見つめる。そうだねミサキ、たまには甘くても良いかもしれないわ。



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