マネージャー
ある昼、ミーティングを兼ねて4人で屋上で昼を食べていた。
議題は"新体制になってからマネージャーがいなくなった"という件だ。時々入るマネージャーも仕事の多さとかで辞めて行く。3年の人が時々出てくれてる時もあるが、必然的に1年がマネージャー仕事を行っている始末だ。
「なんとかせねばならんよ!」
「だぁからそれを話してんだろォ!?」
当たり前の事を言う東堂に思わず声を上げる。
あいつはどうだ、そいつはどうだと東堂と新開は例を挙げている。
俺としたら、仕事してくれればいい、そして東堂や新開にキャーキャー騒がねェやつくらいしか希望がねェ。
理想マネージャーがルーズリーフにまとめられた。
東堂や新開をキャーキャー言って甘やかさないやつ、それなりに責任感あって仕事できそうなやつ、簡単に辞めなそうなやつ、部活掛け持ちしないやつ、俺にビビらないやつ、多少可愛いとなら良し。
最後2つは新開の意見だ、てめェふざけてねぇか?
ルーズリーフに理想が書き込まれた紙を見る。つーか該当するやついんのこれ。それぞれそう思ったのか食いながら無言になる俺ら。
そんな中、静寂を破って屋上のドアが開き声がかかった。
「あ、いた荒北!これ借りてたCD返しに来たんだけどー?って邪魔した?」
屋上のドアを開けてなまえチャンがCDをヒラヒラさせながら寄って来た。
「おー」
CDを受け取る。そういや貸していたな。
「ありがとー、じゃ、また」
返すだけ返して帰っていこうとスカートを翻すなまえチャン。
「「みょうじ」さん!」
新開と東堂が同時になまえチャンを呼び止める。何てめェら気持ち悪ィ。
そして不穏な空気を察知したのか怪訝そうな顔したなまえチャンだ。
「決まったな...俺はみょうじが良い。やる気になる」
「そうだな!ピッタリ当てはまるじゃないか!」
「「は?」」
俺となまえチャンが聞き返す。
「よしみょうじさん!この俺がマネージャーに任命してやろうではないか!」
ポカンとする俺となまえチャン。
「ダメだ」
思わず口に出す。
「荒北には聞いてないな、俺は「お断りします」
東堂の言葉を冷ややかな笑顔で断るなまえチャン。
「む、結論出すの早くないか?」
そんななまえチャンに対しての新開が動く。
「おめさんの事ずっと良いと思ってたんだ、だからマネージャーやってくれ」
バキュンポーズだかをする新開に、それを避けるフリするなまえチャンが呆れながら言葉を発する。
「誰が騙されるって言うのよそれ」
そりゃそうだろうヨ。
「俺たちの理想はこれなんだみょうじ当てはまるだろ?」
ルーズリーフを渡す新開。書いてあるそれを見つめるなまえチャン。
「...私、新開とか東堂君とか甘やかすかも。あと適当な人間だし他もろもろ当てはまってないよ」
ホイと新開に渡す。
「さっき俺のセリフの途中から断ってくる暴挙をするじゃないか!」
そうと言うならもっと俺に甘やかしてくれとかなんとかほざく東堂。
「俺は本当におめさんが好きだから、やってもらいたい」
「はぁ、だから新開のその顔には騙されないって、とりあえず無理だよ通学だもん」
ため息吐きながら困り顔のなまえチャンだ。
「入寮すれば良いじゃないか」
んな事簡単に言うんじゃねェヨ新開。
またため息を吐き、チラッと俺を盗み見るなまえチャン。なんだよ?俺は助けねェヨ。所詮こんなん自分で決めることだ。
俺としてはマネージャーして欲しくねェけどな。なんつーか、他の野郎の世話をやく姿とか苛立つだけだ。
そんな中、福チャンが静かに口を開く。
「...みょうじ、俺からも頼む。現状で今まで3年マネージャーがやっていた仕事を実質1年が行なっている。俺としてはチームの底上げとしても来年、再来年と強いチームを維持する為にみょうじの様な人間が関わって欲しいと思う。俺たちは負けない、そのためにも裏方で迷惑かもしれないが是非みょうじに頼みたい。力を貸して欲しい、ダメだろうか?」
福チャンの言葉は俺としてもぐっとくるものがある。まぁ確かに悪くないかもしれねェ。
「......ダメじゃない」
小声で口を開くなまえチャン。...人が口説き落とされた瞬間を見た。またそれが自分の彼女だというのがいかんせん微妙すぎる。
「...けど本当に私で良いの?何にも知らないよ?」
「...それは教えられっし、大丈夫じゃねェの?」
少し不安そうななまえチャンについ声をかける。
「ほら、靖友もそう言っている事だし」
ポンっと手を乗せられる。妙に笑顔なこいつがうぜえ、肩を回して手をどけさせる。
少し呆れ顔ななまえチャン。
「...じゃ、よろしくお願いします」
半言いくるめられて入部となった。
とりあえず、それでも親も知らないし話しておかないと言いとりあえず明日からで良いかと聞くなまえチャン。福ちゃんもそうしてくれとそして明日挨拶を頼んでいる。
こいつが適当に周りの人間を見れるっつーのも知ってんし、要領が良いしおそらく動ける、そして与えられたものに対しての責任感はあるはずだ、じゃなきゃ隠れてバッティングセンターなんか行かないだろう。まぁあれは負けず嫌いになるのか。
帰宅部にしておくのは確かに惜しい人材だ。
ただ...好きな奴が甲斐甲斐しく他の野郎の世話をやくことになるのか、やはり何か納得いかねェ。
「靖友、テンション上がりすぎだ」
それはてめェだろボケなすが。
じゃぁまた明日よろしくと去って行ったなまえチャン
「とりあえず寿一さすがだな。みょうじを口説き落とすなんて」
「あぁ!福もトークが切れるのだな!!」
「む?」
福ちゃんは何のことだか理解していないようだ。
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