業務
ひょんな事からマネージャーになってしまった。単にCDを返しに行っただけなのにな。
というか曲がりになりにも付き合っている人が居る部活への入部は微妙な気持ちだ。もう少し一緒に居られる時間も増えるかもしれないなとチラッと荒北を見たら目があってしまった。そのせいなのか後々、俺に助け求めんなと言われたが、始めから助けて貰おうとしてないからと言った。入るかどうかはしっかり自分で決めたつもりだ。
その理由として、福富君の熱い部活への思いが響いたのは確かだ。
家に帰り親にマネージャーになると言ったら大賛成された。なんしろ中学終わって話さなくなった新体操の事とかで後悔がないのか心配されていた様だった。まだまだ学生、色々な経験するのは良いんじゃない?と言われた。
次の日、ジャージを着て部員の前で紹介される私。と大勢の目の前でニオイだかを嗅いできて変な発言する荒北はやや変態かもしれない。うん、付き合うの間違ったかもしれない。
後々に部活への挨拶良かったと新開に褒められたが、正直言うと私の放課後を潰して働いてやるんだから、簡単に負けんじゃねーよっていう気持ちを丁寧に言っただけだ。
早速仕事の内容を、1年から聞きながらメモする。あー意外と仕事あるな。
私としては最初に取り掛かりたいのはこの部室の掃除だ。何しろ、マネージャー仕事したくてもこの惨状は目に余る。
翌日、主将の福富君と東堂君に掃除の許可を取って、今日は1日ここの掃除だ。
そう文化祭でここ来た時もチラッと見えてギョッとしたんだよねこの惨状。何が起こっているんだ、東堂君やら福富君が居るんだからもっと指導してよ。
マスクをして、乱雑にされている服を1箇所に寄せる。教えてもらった洗濯機に入れて洗濯する、あ、乾燥機付きだラッキー。乾燥させれば今日中にいけるな。
部室に戻りお菓子のゴミだかなんだかを捨てながら、自転車関係のものはそれとポイポイと分別していく。こういう整理は思い入れない人間がやった方が捗る。自分の部屋はこうとはいかないんだけどね。
ものすごい露出しているお姉さんの本やらそういうDVDやらも分別する。意外と出て来たので、更に内容別の種類に分けて整理する。ここまでやったら若干嫌がらせだが、されて欲しくなかったらここに置いておくなという事だ。男兄弟いるしこんなの余裕だ。
あ。写真が出て来て思わず止まる手。去年か今年だかの優勝した時の写真であろう肩を組んで皆良い笑顔で笑っている。写真が皺になっているので伸ばして別にしまう。入部数日だけど優勝するのは見てみたいな。
つ、疲れた。疲労で身体が痛い。
色々片付けて、台やら棚やらベンチやら拭きまくって整然とした部室。彼らの帰ってくる前までにそれなりにしとかなければと分身する勢いでやったからな。
よし、あと残りのマネージャー仕事を今行っている1年から引き継ぐ。確かにこれ選手がやっているのはかわいそうかもしれない。
私がここまでやるのもやはり荒北が関係するかもしれない。期待には応えたい...なんだか足元見られている様で気に食わないが幻滅されたくはない。あぁ、深みに嵌ってるわ。
一通り終わったので一応東堂君に見てもらう。
「で、どうかな。一応要らない方に分類したのは見て欲しいんだけど」
「す、凄いななまえさん!よくこれだけの場所を片付けたな!」
目を輝かせながら褒めてくれてありがたいけどさ。
「東堂君が居るんだから、もっと綺麗だと予想してたんだけど?美化委員さん」
「ぅ、すまない。もう、俺だけではどうしようもなくてだな...」
しどろもどろな東堂君は珍しいのでつい笑ってしまった。
「む、どうして笑うのだ?」
「いや、なんでもない」
要らない方の袋を見る東堂君。
「意外と容赦ないなみょうじさんは」
「必要だった?ごめん」
「いや、俺だったらもっと時間かかったからな」
まぁそりゃそうだ、入部数日だからこそバッサリやったからね。
「これで、気になるところやったから明日からはマネージャー業務やるから」
「な、なんと言うか誘っておいてアレだがすまないな」
腰が低い東堂君は珍しいので調子が狂う。
「まぁそう言うならしっかり勝って下さいって」
眉間の皺をデコピンした。
「い!痛いぞみょうじさん!」
うんよし、いつもの東堂君に戻った。
部室に入った人達が驚いていた。その驚く顔で満足だ。
「...靖友、みょうじすごいなそっち系のDVDまで詳しいのか」
「いや、知らねェからァ」
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