黒田と球技大会1日目
球技大会日1日目
俺は中学まで色々助っ人してたから、大抵の事は人並み以上に出来る。もちろん今は色々あって自転車だけだけだ。
この球技大会、本日1日目は、バレーやる人が少ねえからやってくれと言われバレーに参加だ。
体育館の上から観戦しながら自分のクラスの出番を待つ。すると女子の方が意外とレベル高そうな試合をしていたので思わず試合を見てしまう。
あ。あの人みょうじさん、2週間くらい前に入ってきた。見た目も上の方には入るし、どうせ仕事の多さにすぐ辞めるんだろう、もしくはキャーキャーうるさいかだろうと思って適当に挨拶を聞いていたら異様な挨拶の方が印象に残った。でもなんだか好きになれなかった。
ただ少し気になって荒北さんをけしかけてみたら、荒北さんがいつもと違っていた。マネージャー相手にも近寄りもせずに辞めそうな匂いだとか言っていたはずだ。なのにやたら近い上に、何とも言えない感想を言った荒北さんに俺含めて後輩がちょっと引いたのは新しい。
みょうじさんは、もう1人の綺麗な人と息があったコンビだと思った。他の人もそれなりに出来るけど、2人の時は特に息があっている。というかみょうじさんじゃない先輩はおそらく元バレー部な感じだ。桁違いに強いアタックやサーブで簡単には拾わせない。見劣りするけどみょうじさんも十分強い、けど基本サポートしているから目立たない。つか、なんであの人運動部入っていないでマネージャー?
...ぁ、そしてこの人文化祭でバク転していた人だ。頭の中のピースがピタッとはまる感じがした。通りで何処かで見たことあると思ってたんだ最初から。そりゃ俺も出来るけど、女子ではかなり珍しい。あの人俺と同じタイプなのかもしれない。
みょうじさんがアタックを叩き込んでポイントをとり、首にかけてあったスポーツタオルで顔の汗を拭く...。一連の動きがやたら綺麗にみえた。ボーッと眺めていたら、ふと上を向いたみょうじさんと目があってしまった。
やべっ、思わず目を逸らしてしまった。
そうこうしているうちに試合は圧勝。もちろん勝ったのはみょうじさん達のクラスだった。
俺のクラスも試合になったのでコートに向かう。
笛と同時にサーブを打つ友人、トスをあげてもらい叩き込む。バレー部もいねぇからグダクダながらなんとか繋いで点をとっていく。
なんとなく上を見たら体育館上から友人と観戦するみょうじさんと目が合った。するとみょうじさんは、少し驚いたか分からないけど笑顔で手を振って来た。
か、返せるわけないでしょう...。
分かるか分からない程度の会釈して試合に集中する。...あー無視した形になったかもしれない。
勝敗はなんとか俺たちのクラスも勝ち進んだ。
結構時間が空きそうなので、外の競技を見に行くことになった。友人達と外にでて野球を見に行く。
1日目は男子の野球で2日目は女子のソフトだ。確か荒北さん野球とか言ってたか。グラウンド周りを歩く、あ、荒北さん投げている、投手なんて出来たんだあの人。
そしてグラウンドの木の陰で汗を拭うみょうじさんを見つけてしまった。どうやら1人で観戦している様だ。
...はぁ、一応さっきの態度微妙だったかもしれねぇから謝っておくか。
友人達に断わって、渋々みょうじさんに近づく。観戦してたのか、食い入る様に見ているらしく気付かない。
「みょうじさん」
ビクッとしたみょうじさん
「すいません、驚かせました?」
「黒田君か、ごめん大丈夫だよ」
「1人で観戦ですか?」
「さみしい人みたいに言わないでよ、皆野球は良くわからないからって断られたのよ」
結局一緒じゃないですかと言おうとしたがやめておいた。なんとなく距離をあけて隣に座る。風が抜けて行く木陰が気持ちいい。
「あのさっきはすいませんでした」
謝ったがいいが全然意味が分かってないみょうじさんだ。
「えっと、さっき体育館で態度悪くてすいませんでした」
「え、やだそんなことないから!黒田君気にしなくて良いのに!むしろ馴れ馴れしくってごめんね」
少し焦った様に謝ってくるみょうじさん。ヤバイ先輩に謝らせてしまった。
「いや、本当すいません」
「あ、そういえば黒田君バレーも出来るんだね。めちゃくちゃかっこよかったよ!」
屈託の無い笑顔で言われてしまいなんだか恥ずかしい。
「...そして、私の事は嫌いって感じ?どちらかといえば気に食わない感じかな」
少し寂しそうに軽く俺の顔を覗き込んでくるみょうじさん。
「!いや...そんなことは」
「フフ、当たったなこれは」
良い笑顔で言うみょうじさん。そして見透かされていたようだ、上手く隠していたつもりだったはずだったのだが。
「えーと...微妙なマネージャーでごめんね?自転車の事とか詳しくないし足りないこともあるけど出来る限り仕事はするから、許してね」
申し訳なさそうに言うみょうじさん。
...仕事が出来るのは知っている。今まで俺たち1年がやっていた仕事を1人でこなしているんだから、それも手際良く。面倒見もそれなりに良いから"姉さん"と懐く友人達も出てきている。だからこそこの人が何か気に食わない、もしかしたら同族嫌悪なのかもしれないな。
「っだから、嫌いじゃないって言っているでしょう!?」
みょうじさんの方を向いて思わず強めに言ってしまった。驚くみょうじさんに慌てて言い訳の様に続ける。
「俺たちがしていた仕事もやってくれているし、ほとんど顔見せないで裏方としてやっているの知っていますから、部室とかも綺麗にしてくれていて助かってます。だから嫌いじゃなくて好きですから!」
ポカンとするみょうじさん。
...つか、俺つい言い訳で変な事口走らなかったか!?顔に熱が集中するのを感じて、さらに言い訳を重ねる。
「だ、あのそういう好きとかじゃなくて!ですね、」
「プッ、アハハ、大丈夫だって!それは分かってるから、私が悪かったって!」
涙流しながら笑うみょうじさん。
「はぁ...へぇ、そうか黒田君は私の事好きなのか。それは良いこと聞いたなぁ」
髪を耳にかけながら少しニヤニヤしながら言ってくるみょうじさん。に思わずドキッとする。
「〜っ!だからっ!」
「フフ、はいはい」
「...からかってません?」
「あ、気付いた?」
「はぁ、みょうじさんの事嫌いです」
「えー、残念」
残念と思ってもいなそうな笑いを浮かべた顔をしているじゃないですか。
そんな時に、ある人が話しかけて来た。
「なまえチャンタオルー」
荒北さんが近づいてきた。今の試合終わったのか。
「ハイ、お疲れ様。1度もヒットなしじゃん」
「ハッ当たり前ェ」
この人、話しながらもしっかり試合見ていたのか。ていうか
「こんな時にもマネージャー業務ですか?」
ポカンとする荒北さんとみょうじさん。
「そう、世話のかかる荒北さんで困ってしまいます」
「っせ、ボケなすがァ」
笑うみょうじさんと微妙な顔の荒北さん。一体なんなんだ。
「んで、意地悪ななまえチャンは黒田と何してたのォ?」
「仲直りっていうやつですかね?良いね男の後輩って可愛い。女の子も可愛かったけど」
「そーかヨ、あんまり後輩苛めんなヨ」
「ちょーっと可愛がっただけだよ。荒北みたいでなんか面白い」
「あぁ?」
「どうどう」
「同じ扱いすんじゃねェヨ」
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