05


テスト期間も終わり、もう少しで春休みに突入する。

新開君に教えてもらった三月のロードレース大会に折角だから内緒で見に行くことにした。


それでも荒北に、一言言いたくなった。ただ、頑張れなんか荒北に言えない。悩んだ末に
"トップとってきて"
と送りつけといてやった。他に上手い言葉は思いつかなかった。



そしてレース当日、私は急な...っていうか忘れてた法事で行けなくなってしまった。そればかりはしょうがないもんだ。
その中不謹慎ながらも、レースはどうだっただろうかと気にしてしまうそんな一日だった。


レースの結果は風の噂で知った。






見にいってもないレースに対して何も言えなかった。
レースが終わった一週間後の週末の夜に"外に出てこい"との呼び出しがあった。あいつは私のことを常に暇な人間と思ってやしないか?
その通り過ぎて嫌になるが。


"良いよ"という返事をした。まだまだ肌寒い三月なので、上着をきて外に出るとすぐに荒北はやって来た。
「みょうじチャン、色んな礼にベプシおごってやんヨ」
その一言によりコンビニに行くことになった。
私はベプシ以外でよろしくと言ったら、少しムッとしてた。

荒北は例によっていつものと、私は寒いのでコーンスープを選んで有難く奢ってもらった。
...何を話したらいいのだろうか、そんなことを考えながら、当たり障りない世間話をする。

自宅の前で、荒北は座れるような適当な石に腰掛けた。
やっぱりレース見たかったな、この細身な荒北が、この脚で必死にペダルを回してたんだよね。凄いなぁとしか出てこない。
私自身何を思ったから分からない。思わず、荒北の太腿を触りたくなって触ってしまった。
「っ!?何してんのォ!?」
荒北はビクッという効果音が付きそうなくらい驚いて立ち上がった。

「っ!...え、触りたくなったから?」
しまった、その後のこと何も考えてなかった。その上、恥ずかしいことを口滑らした感じがする。触りたくなって勝手に触るとか変態か私は。アタフタしながら、ほら自転車競技部ってやっぱり脚太くなるのかなーってとかありきたりな理由を述べといた。

「...あー、太くなるんじゃナァイ?」
少し気まずそうにつぶやかれた。そんな荒北に加虐心を煽られて、もう一度撫でたら、頭をペシッと叩かれた。痛い、そりゃそうなりますよね。


荒北と分かれ、自室に入る。
太腿、引き締まってて硬かったなぁ、男子はすぐ筋肉ついて少し羨ましい。自分の太腿を触るとフニッとする感触、きっとこれは普通!平均的な体型なはずだ!
...明日から少しダイエットかな。








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