心配


あれから2週間喧嘩?をしたままだ。部活の皆にも気を遣わせてしまっているので何とかしないととは思っている。しかし、どうにもこうにも話せない、普通に喋るってどうしたら良いか分からなくなっていた。

そんな中、気晴らしにと新開に出掛けようと誘われて、とりあえず了承した。

...それにしても服装はどうしたら良いんだろうか。まず新開にどこ行く気なのかも聞いていない事に気付いた。迷った挙句適当にアンサンブルとキュロットとブーツで組み合わせてモフモフした上着を着て待ち合わせ場所へ行くと新開が待ってた。

新開と電車に乗り始めた所で、気になっていた事を素直に新開に聞くと当たっていた。そりゃ、新開が私を誘うなんて初めてのことだからだ。軽くみえるけどそう言うところはしっかりと一線をわきまえてるやつだ。ここまで迷惑かけてるし素直に荒北と仲直りしようと改めて決意する。

...


そして連れて来られたのは某有名テーマパークだった。さすがに驚くというか申し訳ない、ここまでしてくれなくて良いのに、本当優しい奴らだ。

楽しみたかったらしい新開と適当にアトラクションを楽しんだり昼食後ポップコーンの食べ比べをしながら時間を潰していたら、例によって東堂君達が偶然だな!とやってきた。

そりゃ確かに通常だったら偶然だ、荒北も怪訝そうな顔したが色々察したようだ。
なんとなくこの仲直り作戦に引っかかっているはずの私自ら喋る事も出来ずに無言の空間が出来上がった。

東堂君...いつものトークの切れというやつを見せて欲しい。

「...はぁ、新開なまえチャン返して欲しいんだけどォ?」
渋々荒北が口を開く。
「いやだ」
「「は?」」
え、何を言い出すんだ新開。思わず新開をみるが何を考えているか分からない笑顔だ。
「デートしてるんだから、邪魔するなよ靖友」
私の肩をぐっと引き寄せバキュンポーズの無駄うちをした新開だ。
「チッ っぜぇ」
舌打ちをしながら、私の手を引いて歩きだした荒北。少し振り向くと福富君は頷いてるし、新開と東堂君が良い笑顔で手を振っている。あぁまた荒北煽られてるよ新開に。


5分ほど早足で歩かれアトラクションが少なく、人気が少ない所に連れてこられた。閑散とする中で多少荒北が怒っている雰囲気とこの状況に耐えられなくて言葉を発する。

「荒北ゴメン」
とりあえず謝ることにした私。
「何に対しての?新開とのデートの事?」
「えーと、...色々?」
「本当なまえチャンは考えなしだよね、頭良いのか悪いのかマジでわかんねェ」
...あの胸に言葉が突き刺さるんですが荒北さんよ。
「...この前もそー。考えなしで首突っ込んで殴られて、怪我して...こっちは心配してんのに関係ねェ言うしな」
「...え、心配...してたの?」
思わずポカンとして見つめ合う私達。

「...あーくそ、そうかヨ」
頭を掻きむしったと思ったら繋いでいた手を引かれ軽く抱き締められる。荒北に包まれてあったかい。
「...普通、カノジョが殴られて心配しねェ奴いねェだろ。気付けよボケなすがァ」
耳元に聞こえる言葉を素直に聞く。
「ゴメン、あの時血が上ってて「あとなんで男を庇うんだヨ、あんなんほっとけよ」
「ほっとけないでしょ?その場に居たんだし」
「いーんだヨ、あいつらはタフだからァ、多少殴り合ったっていいお勉強だろ。なまえチャン弱々じゃん」
「いや、そんなに弱くはな「弱いからァ!そりゃ関係あるのは分かってんけど、無理して欲しくもねェし、怪我だってして欲しくねェんだけどォ?あとそう簡単に自分犠牲にするとことかも怒ってんだけど?」
「き、気をつけます」

なんだ、こんな些細な原因のすれ違いだったのか。思わずホッとする。良かった嫌われていなくて、安心してさらに愛しさが湧いてきて荒北にぎゅうっと抱きしめ返す。

「...で、てめェらは何覗いてんだ?」
「!?」


頭の上で突然大きな声を出したかと思ったら、10mくらい離れた茂みからガサッという音とともに先ほどの3人が顔を出した。
「偶然だな靖友!」「荒北が不甲斐ない場合はフォローしなければと思ってな!」「悪いな」
顔を出したかと思ったら、口々に言い訳を始めた3人を荒北の腕の中からチラ見する。

「覗くなら覗くで設定統一しとけヨ!つーかほっといてくれナァイ!?俺チューしようとしてもこう見られてちゃ出来ねェだろうがァ!」

...本当になんでいんのこいつら、雰囲気読まな過ぎじゃない?いや、こいつらのお陰なんだけどさぁ!ここまで!?
もうさすがに恥ずかしくて荒北の胸から顔を上げられない。こんな甘えキャラじゃないとこ見られて消えたいんですけど!

「まぁまぁ良いじゃないか。俺2週間虫除けやっててやったじゃないか。靖友その場所辛いなら代わってやろうか?」
「うむ、みょうじ良かったな。とりあえず後は皆で楽しもうじゃないか。何か乗ろうではないか」
「そうだな」
口々に言う3人...主に2人だが、そんな中荒北が言い放った。

「ハッてめェらだけで回っとけ。これからなまえとめちゃくちゃヤっから、これで帰るわ」

「「「「!?」」」」

平然と言い放って、また私の手を引いて歩き出した荒北。...もう完全に新開達の顔なんか見れなくなった。週明けどんな顔して部活出ればいいのさ。


真っ赤な顔しているであろう自分の顔を隠しながら荒北に話しかける。
「あ、荒北ぁ...?何であんな事言うのさぁ、月曜から顔合わせられないんだけど」
「ハッ、そりゃ好都合。俺に引っ付いてれば良いんじゃナァイ?」
ニヤッと笑う荒北。う、2週間ばかし行き場なくて新開に近寄ってた仕返しかよ。

帰りがけのホテルに連れ込まれてたのは言うまでもなかった。




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