衣替え
箱学への通学路が一気に明るくなる。
なぜかというと、それはやはり制服のせいであろう。男子はワイシャツだし、女子も明るめのブルーを基調とした制服だし…この女子の制服は中々可愛くて気に入っている。
本日は、朝練がなかったのでいつもよりゆっくりめの登校だ。いつもより人が多い中、下駄箱で見慣れた顔…いや、眠そうな顔を見つけて声をかけた。
「おはよ、新開」
「ああ、おやよう。…やっぱ良いな夏服は」
ジッと見てくる夏服の新開に少し気まずさを覚える。
「…なに?」
「うん、おめさん去年よりスカート短くて良いな。夏だな」
朝一からの指摘で半歩後ろに下がった。そう、去年までは教師に優等生イメージを持たせるために他の女子よりも長めのスカートだったけど、もう充分印象ついたと思い他の女子くらい短くしてみた私。そして何より暑かったからだ。
「そこに気付くの早いね」
「いやぁ靖友も気付くぜ?」
「えー…新開じゃあるまいし」
「おめさん俺をなんだと思ってるんだ」
…
私は思う、女子によくある白いセーラー服に透けるブラとかよりも男子の夏服ワイシャツの方が切実な問題だと。箱学の女子の制服はしっかり色がついているし、ブラが透ける心配もなく安心して着れるので非常にありがたい。
だが、男子はどうだろうか。白い半袖ワイシャツからスラッと伸びる程よくしっかりとした腕だったり、襟から覗く鎖骨だったり、薄いワイシャツから素肌の色や腹筋が見えそうだったりするチラリズムというか…。また成長期による去年からの体格の変化だったり…なにより男の無自覚の色気っていうのがいただけないのだ。そう無自覚!少しは気にして欲しい。
「……どうなのよ、そのへんミサキさん」
「あんた夏服一つをどこまで考えてるのよ」
昼食中、私の衣替えについての熱い気持ちを聞いてくれたミサキだった。
「いや、どうしても新開はチラ見したくなるよね。あの腕は触りたくなる…あとあのフェロモンはどうにかしてほしい。あいつ同年じゃない絶対留年してる、3年になっておかしいもん」
「それはよく分かるけど、荒北くんは良いの?」
「…ぅ、荒北の夏服は後で見るし」
「へぇ?」
っというか夏服以前に寧ろ色々見すぎてるというか。まぁ、それを言えばチャリ部の奴等の身体はそれなりに見てるしな。でも夏服はまた別腹だ。
…
部活終わりに着替えて彼らと寮までの帰宅をお供する予定だ。
「…」
はたして私の彼氏は、露出狂なのだろうか。私の着替えを廊下で待っていてくれた着替え終わりの夏服の靖友を上から下まで見る。じろっと見たせいか、靖友の眉の溝がぐっと深くなる。
…あれ、去年もこんなんだっけ?去年より伸びた髪のせいか少し大人っぽくなった気がする。そして細いのに前よりも身体ががっしりした気がするし、背も伸びたのかやっぱり…なんだか遅れを取った感じがする。
いやいや、そうじゃない私。それよりも問題なのは開けてるボタンの数だろう。留めてあるボタンの数のが少ないレベルだ。つーか、胸見えそうだから!彼氏が露出狂で捕まってしまうかもしれない。
「…や、あの、荒北さ、ボタン閉めない?」
「別に良いだろ、面倒だしあちィし」
男だしなァと呑気に続けるいつもの仏頂ズラの靖友。だが、私にしてみれば問題だ。
「荒北、こっちむいてー」
「あ?」
振り向いた靖友に近づき、空いていたワイシャツのボタンを2つ留めた。どこか汗がにじみそうな肌に一部ワイシャツが張り付く。
あぁ、こんなくらいでしょう、見えそうな所はグッと減った。
「よし」
靖友を見上げたらなんとも微妙そうな靖友。
「いや、意味わかんねェ」
「これくらいのがかっこいいよ」
「っ、そーかヨ」
しっかりと褒めてみたので少し気まずそうだが納得してくれたような荒北で一件落着だ。他の3人…柄物を下に着るどこかチャラい東堂君としっかり模範通りの福富君といつものラフな新開と合流して、寮までをお供した。
「なまえチャン何なのォォ!?去年まであんなにスカート短くなかったろ!?変態か!!…ぱ、パ、パンツ見えンだろォ!?つーか、キャミ着ろヨ!」
「そうかぁ?丈は他の女子と同じだろ。見えたって良い目の保養じゃないか、去年より顔も身体も大人びたしな。夏服はやっぱり良いな」
「てめェは見んじゃねェヨ」
「いやぁ無茶言うなよ」
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