荒北の七夕


手元には、家庭科実習で作ったらしいお菓子。放課後部室に向かっていたら引きとめられて、なんつーか、押し付けられるままにもらってしまった。
頭を掻きながら再度部室へと向かった。そして着替えて外に出たら、グイッと何かによって引っ張られた。そうなまえチャンだ。そのまま俺を引っ張りながら校舎の端に連れて行く。

「あ!?」
背中に感じる冷たい校舎の壁。
そして、目の前には俺を挟んで両手を壁について俺を睨んでくるなまえ。

「あ?じゃないんだけど?」
…なんでこいつ怒ってんだ?ちょっ…訳ワカンねェからァ。
「今日七夕なんだけど?」
「あー…だねェ」
そういや、今日はそうだったなと思うが、この行為自体には繋がらない。え、七夕は何かやるもんだっけかと頭の中で考えるがそんな事は聞いたことがねぇ。せいぜい短冊に願いを書くくれぇだろう。

「彦星は貧乳派だと新開が言ってましたー」
「…」
あのヤロウ。どうせ、余計な事言ったんだな。俺を下から睨んでくるこいつの眼光の鋭い事。

「っていう事で、巨乳ちゃんとーっても可愛かったね?1年待ってた織姫ちゃんだったら機嫌損ねるよー?」
…やべェ…見てたのかァ?そしておめェ1年待ってねぇだろと突っ込みたいが飲み込んだ。
さっき調理実習だかで作ったらしいお菓子をくれた2年の女子が弾けそうな程のものを持っていた。男子高生なら思わず目がいってしまうだろう代物だ、だって青いセーラーの胸元からガッツリ谷間見えてんだぞ?普通に見るだろ。そして、アレは見せに来てるようなもんだからな。

「鼻の下伸ばしてたね。さぞかし良い眺めだったんでしょうね」
「…別にィ?」
「デレデレしてて、すっごくかっこ悪かったし」
「…そーかヨ」
ムッとしているなまえの腕の檻の中で、お説教を聞く。

「…ていう事でお仕置きね」
「はぁ!?」
まさかの辛辣な言葉に思わず声が出る。そりゃなくねェ?チラ見…いや、見せつけられたもんガン見しただけじゃナァイ!?…っ、やっぱ、よくねェのか?

「靖友は、しちゃダメだから」

訳わからない事を言い、俺の胸元のシャツをグイッと掴んで引き寄せるなまえチャンと口を合わせる。
すると、唇を舐められ、舌が入ってくる。絡めようとしたら逃げられた。
「ダメって言ったでしょ?」
合わさる口から怒る声が漏れる。なすがままの俺の口の中を存分に刺激していくなまえ。歯列をなぞられ、好きに暴れる舌をなすすべなく受け入れる。っ、上手くなっちまったな…つーか、こんなことされたらムラッとくんだけどォ!?わかってんのォ!?

「ふふ」
気が済んだのか俺の顔見て少しエロい顔してて笑うなまえ。
「…なぁなまえチャン」
すげェしたくなったから誘おうとしたらまさかの声がかかる。

「はい、部活行きな。もう始まるから」
「はぁ!?」
俺もう完立ち状態なんだけどォ!?俺を笑うなまえを睨む。
「ハイハイ、うるさい。私日誌届けないといけないから。あと5分で練習開始だから遅れちゃだめだよ」
「お、オイ!」
日誌振りながら、慌てる俺を無視してすたこら逃げていった。あのボケなす…コレどうしてくれんのォ!?




- 85 -

*前次#