賭ける
オープンキャンパスも数個行ってきてあらかた進路が見えてきた。マネをやっていて、意外と人の世話も悪くないじゃん、人とかかわってみるのも悪くないなと感じていた。
夏休み中の補習の最中先生に会い、推薦も考えている事は伝えた。先生の方からも、私の今までの成績だったら問題ないとのことで十分推薦も狙えるようだ。
あと一週間もすると夏休みも終わり、9月は最後の文化祭となる。うちのクラスは例によって本当にチョコバナナを売るのかもしれない...いや、私は良いけど二連続それはないかなやっぱ。
静かな学校の廊下を歩いていたら靖友に出くわした。そう...進路指導室から出てきたっぽい靖友と。
「...これから帰り?なら帰ろう」
「おー」
大あくびをする靖友と帰宅する。
「夏休み終わんなァ」
ポツリと言葉を溢す靖友だ。
「そうだね、終わったら総合テスト」
「ヤな事思い出させんなヨ」
そう言いながら私の頭を軽く叩いてくる。
「…髪くずれるー」
「気にしてねェだろ」
「いや、してるって」
少し乱れた髪を整える。
そして、荒北家でテスト勉強する為にお菓子を買って帰る。
「あー…まだ暑いよね、最近9月まで暑いし」
不在だった靖友部屋は、蒸し風呂状態だ。靖友がピッとエアコンをつけた。そしてジャージを着るらしく脱ぎだす制服。
「ねぇ大学行ってもロード続けるの?」
「わかんね」
「そっか」
とか言いつつ続けるんだよねきっと。それを考えたら思わず笑ってしまった。
そのTシャツを着た細めの背中にくっついてみて、背中に耳をつける。するとトクトク聞こえる心臓の音。
「…あんだヨ」
「何となく?」
「バカチャンがァ」
「…進路決まったら靖友に最初に言う」
「ハッ そりゃどうも」
可愛げのない靖友だ。いや、可愛かったらちょっと嫌。
「くっつくとあちィな」
「だねー」
「離れる気ねェだろなまえチャン」
「お互い様じゃん」
現に面倒くさい顔しながらも靖友は私を振りほどかない。優しいんだから全く。
「遠距離になるけど、浮気しちゃダメだよ?」
「ハッどっちがだヨ、する訳ねェだろ」
そのまま軽くキスをした。
まだ蒸し暑い室内なのに、この触れる肌は嫌いじゃなかった。
そんな中渋々離れて、ローテーブルに勉強の道具を広げる。
…。何ていうか最近靖友勉強頑張ってるのかな。前よりもくたびれた教科書や書き込みがそれを物語ってる。まぁ、人のこと言えないけど。
「…なァなまえ」
「何?」
小一時間ほど勉強していたら、靖友が声を発した。
「賭けねェ?テスト」
「え、良いけど。全教科?それとも一部?」
「理数、テスト被ってるやつで」
「え、それ無理でしょ靖友」
私はこれでも理数は上位に食い込むし。靖友が勝つ気なら文系だろう。自身満々に言った私。
「ハッ余裕そうだなァ」
「まぁそりゃ負ける気ないしね、って何かけるのお菓子?」
「俺は、あのパンツな」
「へ?」
訳が分からず、気の抜けた返事が口から出た。訳わかってない私にニヤついた靖友が続ける。
「あのクソエロい紐パンな、出掛ける時スカートでそれな」
「!?」
「思い出したァ?」
思い出したとも…約1年前にミサキからプレゼントされたエロいだけのショーツ。…というかショーツとして何の機能もなさそうなやつ。そうか、看病してくれた時に靖友見つけたのか。
「っ他のにして!」
「勝つ気なんだろ?良いじゃねェか」
「〜っ!!」
いや、良くない!絶対に良くない!賭けの内容が格差ありすぎる。
「勉強捗るんじゃナァイ?」
「っ分かった!絶対負けないから」
「ああ、俺は強ェ」
「それ福ちゃんだから!!」
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