弱る恋人
「こほこほ……っ」
「…大丈夫か、憂」
朽木家のある一室。布団を被り、横になっている憂に寄り添い、彼女の小さな手のひらを握っている白哉。彼の瞳は少し不安げな色を見せている。
「ごめっなさ……!心配、かけてしまって……」
「私のことは気にせずともよいから…早く治せ」
先刻、任務で傷を負った憂。傷自体は深手ではなく、大したものじゃなかったが、元々あまり体が丈夫ではない憂は疲れから高熱で寝込む羽目になった。
「すぐよくなるはずだ」
「ごめんなさい…こほこほっ…朽木家に、ご迷惑を…掛けてしまって……」
「そんなこと、兄が気にすることではない」
憂が寝込んだと聞き、白哉は直ぐ自分の屋敷へと連れて行き、朽木家が全力で看病に励んでいる。憂は大丈夫だと言ったのだが、「兄の大丈夫ほど当てにならないものはない」の一言で片づけ、強引に朽木家へ連行したのだった。
「…回復さえしてくれれば、それ以上は望まぬ」
「白、哉……」
「だから案ずるな…ゆるりと体を休め」
「…ありがとう…」
力ない手で、必死に白哉に応えようと弱々しくも握り返す憂。そんな彼女の手を包みこむかのように白哉は両手で握った。
「兄は早く回復して、私を安心させることだけを考えていればいい」
「…ありがとう、白哉……」
その手のひらが温かくて、憂に安心感を与えてくれたのだった。