ポピーレッドの恋は唐突に


入学早々、乱闘事件を起こしちまった俺は一週間ほど停学をくらった。




「…ねみぃ」





停学期間の間、ダラけた生活を送っていたのは勿論のことで。昼夜逆転した生活と言えば早いだろう。夜遅くまで出歩き、朝方に帰り、昼はぶっ通し寝ていた。


…のだが、





「高杉君、だよね?私高杉君と同じクラスになった花村菜子って言うんだけど…えっと、先生に頼まれて休んでる間のプリント届けに来たの」


「……!」





にっこり笑顔を浮かべてノコノコ俺んちを訪ねて来たのが菜子だった。

…正直驚いた。クラスの奴がわざわざ家まで来たことにも驚いたが…入学早々事件を起こした俺に対し、少しも怯えることのない彼女の態度に。





「早く停学解けるといいね。それじゃあ学校で待ってるから!」


「………っ」





ただ呆然と手を振って帰っていく彼女を見つめることしか出来なかった。…見惚れていたと言っても過言ではない。





『早く停学解けるといいね。それじゃあ学校で待ってるから!』





そんな純粋に俺が学校へ来るのを望んでくれる奴など、今までいただろうか。





『私高杉君と同じクラスになった花村菜子って言うんだけど…』





「…花村、菜子か」





ポピーレッドの恋は唐突に
(まるで導かれるように)



最初はただの興味心からだった。




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