シアンな空を見上げれば


「…眠ィ…」




屋上で白昼堂々寝転がっている男子生徒…高杉晋助。この学校一の問題児である。
ポカポカと日差しが当たり、心地いい。と同時に彼に眠気が襲ってきた。




「何堂々とさぼってやがんだよ…反抗期か?反抗期真っ最中の世界一バカな中二か?」


「うるせーんだよ銀八、テメー何しに来やがった」


「目の前にいるバカな中二を授業に連れ戻しに」


「誰が中二だ」




高杉をおちょくる口調で話すのは、彼の担任である坂田銀八。トレードマークは綺麗で柔らかい銀髪とやる気のない目、白衣に煙草のセットである。





「…本気で惚れちまったみてェだなァ、その様子だとよ〜」


「あぁ?」


「菜子だよ、菜子ちゃあんっさすがの高杉も惚れちまうだろ?そりゃーだって菜子可愛いもんなァ?」




にやにやと人を馬鹿にするかのような笑みを浮かべてくる銀八が腹立たしい。今すぐその面ボコッてしまいてェ…が、




「俺殴ったら菜子が悲しむぞ〜」


「…んなこたァわかってんだよ」




菜子、銀八大好きだからな。



こんな胡散臭い奴のどこがいいのかわからねェか菜子はよく懐いていて…こいつの授業のときはちゃんと聞いている。

俺からしたら複雑だが。





「…銀八ィ、煙草貸せ」


「何先生から堂々と煙草たかろうとしてんだよ」


「テメーの面見たら虫酸が走った」


「それどーゆー意味?」





仕方ねぇな…と言いながら煙草をくれるこいつが先公なんて職業一番向いてねェ気がする。今はっきりと確信した。





「それ一本吸ったら帰れよ」


「…銀八」


「ん?」


「…もし菜子に手出したら…殺すからな」




それだけ告げると、高杉はスタスタ…と屋上の出入口のドアの方へ歩いていく。その背中を銀八はただ呆然と眺めていたのだった。





「……俺に威嚇してどうするんだっつーの」





だが、そんな不器用すぎる高杉の姿を眺めているのは存外面白いもんだとも思った。




シアンな空を見上げれば
(好き過ぎて、どうすればいいのかわからない)








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