いつもの二人
「ねぇラビ」
「はっはっ…、何?」
「なんでこんな暑くていい天気なのに顔を布でぐるぐる巻きにしてるの?それじゃ全然わかんないじゃない」
「な、なんでもないんだよ…っあはは…はぁ、暑い……」
暑さのあまり呼吸が荒いラビではあるが、何故自分がこんな目に遭ってるかだなんて言えるはずもなかった。
…原因は、ローだ。
先日、いきなり…き、ききききすなんて…してきちゃってさ!私、ファーストキスだったのに。しかも、ローはあれから別に態度を変えることもなく接してくるし……こっちばっかあたふたして馬鹿みたいじゃんか。
「…〜っこんな格好だと、まともに踊れもしないし」
「だったらやめればいいだろ」
「っ!!」
背後から聞こえた声にラビは無意識にビクリと肩を反応させた。
「…っろー…!」
「見てるこっちが暑苦しい。外せ」
「………っいや!」
ぷいっとローから顔を逸らすラビ。そんな彼女の態度にカチンと頭に来たロー。
不機嫌そうに眉を寄せ、ラビを見下ろした。
「ラビ、お前いい度胸だな。俺にそんな態度取っていいと思ってんのか?」
「…っそんなの知らないもん!」
だってローが悪いんじゃない!…と、までは言えなかったが……ラビは素直にローの言うことを聞くのだけは嫌で…そんな彼女の態度はローから言わせれば生意気そのもので、彼女の傍にいたベポに目で訴え、あっちへ行っているよう仕向けさせた。
…二人の間に気まずい雰囲気が流れた。
「もう一度言う、その暑苦しいものを外せ」
「……いや」
と、ラビが告げた瞬間だった。
「っあぁ!?か、返してよぉ…!」
「俺に命令すんじゃねェ」
ローはラビの顔に巻きつけていた大量のストールやら布やらを全て奪い取ってしまった。そしてひゅるりと翻していく。
「返してってば…!」
「ごちゃごちゃ小細工しやがって……」
「こ、小細工って…!」
「キス一つでいちいち反応すんなって言ってんだよ」
「……っ!!」
ローの一言にラビは林檎みたいに顔を紅潮させた。
「…ろ、ローっ…!気づいて……っ」
「そんなもんでギャーギャー騒いで、何が恋だ?」
「う、うるさいな!…ほっといてよ。わ、私はローと違って軽くないの…!」
「意地張りやがって…」
「違うもんっ!ローのわからずやっ!!」
いつの間にか、ラビはローのことを意識していたことなど忘れていて、二人はいつものように接していたのであった。
「…なんだ、キャプテンとラビが喧嘩してたと思ってたけど、どうやら違うみたい」
「ははっ、ベポは心配症だな…そんなの、早々ねぇって。だってキャプテン、ラビにだけ甘ェじゃねーか」
…そんな会話をベポとペンギンがしていただなんて、当の本人は知らずに。
いつもの二人
(〜っもう、犬に咬まれたってことにしてなかったことにする…!!)
(俺がそこらの犬と同等って言いたいのか?)