複雑な心境


パチン、と乾いた音が響いた。




「てめ、ラビ…何しやがる!?」


「ろ、ローの…はれんちィィ!!」




はぁはぁ、と息を乱しながら瞳に涙を浮かべているラビ。ローに向かって大声で叫んだかと思うとバッとこの場から逃げ去った。
それが、昨夜のことである。






「…ねぇねぇラビ〜…そろそろお腹減ったんじゃないの?」


「いらないっ!」


「けど昨日の夜もあんま食べてなかったし、朝ご飯も食べてないでしょ?」


「いやっ!」




ラビの私室の前でドア越しに話しかけるベポだが、ラビは聞く耳をもたない。部屋に出ない、の一点張りなのである。




「…キャプテン、ラビに一体何したの?」


「何故俺に聞く」


「ラビがああやって騒ぐのはいつもキャプテン原因だから」





呑気に医学書を読書しているローに向かって、ベポははっきりと言う。





「アイツがガキだから悪ィ」


「そういうキャプテンは変に大人びてるよね」


「ほっとけ」




一方、ラビはと言うと、部屋で一人もんもんと考え込んでいた。





「……ローのばか……」




変態、すけべ、破廉恥…!!幼馴染の私にあ、あんなこと……しかも二回目…!





「一度ならず二度までも……!!」






ポス…と、愛用のクッションに顔を埋める。…この前と違って今回のは犬に咬まれた…って流せない。だって昨日の…忘れられないんだもん……!と、少し昨日のことを思い出しただけでラビの顔はボボ…と一気に真っ赤へと染まる。





「……私が、子供っぽいってのもあるんだけど……っ」





恋愛なんて知らないし、そういうことより踊ることや歌うことしか興味なくて…キスだって……。





「……ローみたいに経験豊富なわけじゃないんだよ…ばか…」





ぐすっ…と涙浮かべるラビ。自分がローの周りにいる女の子たちと同様と考えられたのかと思うと、ローにキスされた事実よりも嫌だった。




複雑な心境



(ローのすけべっ!えっちっち!!)

(キャプテン、すけべなの?)
(…………)