…どきどきしました。

「なんで!?」


「これは命令だ」


「…そんなの、納得いかないよ!…次の島では、一人で行動しちゃダメだなんてさ……!」




ムスッと唇を尖らせて、納得いかなそうに呟くラビ。…と言うのも、それには理由があって、いきなりローに部屋へ呼び出されたかと思うと「一人で勝手に出歩くな」、「次の島の町中で踊るな」の言葉。
彼女にとってそれは信じられないことでもあり、受け入れたくないことである。





「何か、理由があるの?」


「…お前が知る必要はない」


「っそんな!…ばかロー…言ってくんないとわかんないじゃんかっ!」





納得のいかないラビは思わず大きな声を上げる。そしてそのまま部屋を飛び出した。





「…ねっ?ワケわかんないでしょ?…ローってばさ…理由言ってくれればさ…」


「キャプテンがそう言うのも仕方ないよ」


「…どうしてベポはキャプテンの味方するの?」


「ラビ、次の島がどんなところか知ってる?」




ベポのその言葉に、ラビは首を左右に振った。




「次着く島はシャボンディ諸島って言うんだけど…」


「へ〜。シャボンディ諸島だなんて可愛い名前なんだね」


「そ、そうじゃなくてね、ラビ…」


「?」


「…その、島では人攫いとかも多くいるみたいなんだよ」


「……え?」





ベポの口から出てきた意外な言葉に、ラビは目を丸めた。






「特にラビみたいな歌って踊れる女の子なんて、人攫いにとっては標的になってもおかしくはないよ」


「!…そ、そうなの…?」


「そうだよ…だからキャプテンはラビにそう言ったんだよ、きっと」


「だ、だけどさ…それならそうだと言ってくれればわかるのに…!…ローってば、いっつも何も言ってくれないからわかんないよ…!」


「まぁ言わないのがキャプテンなんだけどね」





そう言いながら頭を掻くベポの姿は愛らしい。…ベポでさえローの考えてることを理解出来るって言うのに…私はまだまだだ…。なんか、悔しい。…私、ローの恋人になったのに…さ。





「まぁそこがキャプテンらしいんだけどね」


「え…?」


「さりげなくラビを守ろうとしているとこがさ」





…ベポは大人だ。白くまのくせに私より大人だよ。…自分が情けなくなるよ、ほんと…。





「ベポは、すごいよ……」


「アイ?」


「私、ベポみたいになりたい!」


「無理だやめとけ」





ベポに話し掛けたつもりなのに、返ってきた声は先ほどまでいなかった人物の声で…。





「っろー!?」


「なんだ」


「…いつからそこにいたの?」


「お前が呑気にシャボンディ諸島を可愛いだの言ってたときだな」




ほとんど最初っからいたんじゃない!と言いそうになったのを何とか抑えた。





「…ラビ、」


「な、なに…?」


「何をそんなに焦っている?」


「へ…?」





ローの言葉にきょとんとするラビ。彼の言った意味がよくわからなかった。





「お前は、お前だろう」


「う、うん…?」


「だったら他の奴になりてェなんて情けねェこと言うんじゃねェよ」


「…!」


「お前はお前のままでいりゃ、それでいい」





…どきどきしました。


(…ありがと、ロー…!ちょっと、自信もてたよ!)
(わかったんなら今から俺の部屋を片付けに行って来い)
(…ぱ、パシリ……!)


(やっぱラビはキャプテンに任せるのが一番だね)