迷子中

「わぁ…!アレがシャボンディ諸島!?すごいすごーいっ!泡が浮いてる〜!」


「ラビ、あんま乗り出すなって!海に落ちたら俺が船長に怒られんだぞ!!」





見えてきた諸島に胸を弾ませるラビ。その思いを抑え切れず、ついつい船から体を乗り出して島を眺めていると、キャスケットに注意されてしまった。





「だってさ!あんな島今まで見たことないじゃない!アレ、どうなってるんだろ…!あー楽しみ楽しみっ」


「ラビ、船長に言われたこと忘れたわけじゃないだろうな?」


「へ?」


「勝手な行動はしない、てやつ」


「……わかってるよぉ…」





ぶー…と口を尖らせ、不満を表すラビ。そのことはやはり納得がいかないようだ。





「けどさ!みんなと一緒ならいいんだよね?歌ったり踊ったりしてもいいんだよね?」


「お前の頭はそれしかないのか…?」


「うんっ!」





シャチに馬鹿にされているにも関わらず、それすら気にせず嬉しそうに返事するラビ。そんな彼女に、シャチは小さく溜め息を零したのだった。
船を停泊させ、ハートの海賊団の仲間たちは次々と陸へと降りて行く。…もちろん、ラビも一緒である。




「うわーっすごい!見て見てっロー!!陸がヌルヌルするよ!」


「ここから泡が出来てんだからな…当然だろ」





嬉しそうなラビの姿に、少しながらローの表情もどこか柔らかいものである。





「ここで船をコーティングするんだよね?」


「そうだ」


「わーいっ!その間、いっぱい踊ろうっと!」


「調子に乗って、また怪我とかするんじゃねーぞ」


「わかってるよーだ」






…などと、軽く談笑しながら足を進めていると街へと辿り着いた。街は人々が賑わっていて、綺麗な街並みをしていた。





「うわ〜…!ここの広場で踊ったりしたら楽しそう…!」


「気抜くなよ。ここには俺みてぇな賞金首もふらついてんだからよ」


「ひ、ひぃぃ…っ!」





ふと、ラビの脳裏に賞金首の手配書に描かれた面々が思い浮かんだ。特に彼女の中で一番印象に残っているのが賞金首3億1500万ベリーの男…キャプテン・キッドである。
あんな鋭く、恐ろしい瞳に睨まれただけで一溜まりもない。一瞬で命助からないだろうな…。




「…私にはローや皆が傍にいてほんとよかっ……あれ?」





先程までいた彼らの姿が忽然と消えているではないか。その辺りをキョロキョロと見渡すが誰一人いない。この場にいるハートの海賊団の船員はラビだけである。その事実に、さぁぁ…と血の気が引いていく。





「ろ、ロー…?シャチ〜…ペンギン〜…ベポ〜…!みんな一体どこ行っちゃったの〜…?」




慌てて皆を捜し出すラビだが、それらしい人物はどこにもいない。…その事実が、ずっしりとラビの肩に寄り掛かった。





「…わーんっ!!みんなどこ行っちゃったんだよぅー!!」





ラビは慌てていなくなった皆を無我夢中に追い掛け始めるが…彼女は皆が向かった方向とは正反対の方へと何も知らずに駆けていったのだった。
一方、ローはと言うと…不機嫌さが最高潮にまで達していた。




「…ベポ」


「あ、アイアイ…キャプテン」


「どんな手を使ってでもいい、ラビを連れて来い。」


「アイアイーっ」




彼の不機嫌さに、周りの者は振り回される羽目となったのは…言うまでもないだろう。




迷子中


(な、なんか進めば進むほど、人気なくなって来ちゃったんだけど…)
(わーんっ怖いよーっ)