命がけの追いかけっこ
「…なーんか、嫌な雰囲気になってきた気がするんだけどー…」
進めば進むほど人の気配がどんどん感じなくなっていく。それに不安にならないほどラビも鈍感ではない。
「…こういうときは…歌って気分変えよう!」
そう言って、ラビは直ぐ様歌いだした。…ただ彼女が歌いたかっただけだろうが…そんな彼女を、人攫いたちが目を向けているなど知らずに。
…一方、ラビを捜索しているハートの海賊団メンバーはと言うと…
「やばいよキャプテン!」
「どうしたんだ、ベポ」
「今この島に、1億ベリー以上の賞金がかけられた海賊がキャプテン合わせて11人もいるみたいなんだよ!」
呑気にカフェテリアで腰掛け、お茶しているローに、ベポは勢いよく手配書を渡す。今この島に滞在している超新星たちのものだ。
「俺が、こいつらに負けると思ってんのか?」
「ううん、そうじゃなくて!ラビがこの海賊たちに目を付けられてないか心配なんだよ!」
「お前もラビには甘いな」
「一番甘やかしてるキャプテンに言われたくない」
ベポの言葉を微笑し流すロー。そんなローに、ベポも話に熱が入っていった。
「だってラビは可愛いよ?小柄だし、歌上手だし、踊れるし…何よりFカップだし」
「…安心しろ」
「え?」
「アイツは何があっても俺のものだ…そう易々と他の奴らに渡すなんざしたくねェ」
「…キャプテン…!」
「わかったらベポも余計なこと考えねェでラビを捜せ」
「あ、アイアイ!」
ローの言葉に圧倒されたベポは勢いよくカフェテリアを飛び出し、ラビ捜索を再開させた。
「…さて、俺もそろそろ動くか」
飲みかけのコーヒーをそのままにし、ローは席を立ち、店を出た。…自分の船のやんちゃなクルーを捜すために。
「……あれ?ほんとここどこだろ…?」
どこまで進んでもローたちの姿は一向に見えない。
「…やっぱ先の時曲がるの右だったかな〜?引き返した方がいいよね…」
…と、ラビが来た道を引き返そうと振り返った瞬間…
『こりゃ売れるんじゃねーか?』
『ししっ…あぁ、違いねェ』
「……えっ…?」
気味悪い男たちに辺り囲まれていた。…間違いない、こいつらは…
「ひ、人攫いーっ!?」
「くくっ…気付くの遅ェよ?お嬢ちゃん」
「おい、こいつを捕まえろ!!」
「わわっ…こ、怖いよぉーっ!!」
「あ、逃げた!待ちやがれ!!」
「うわーんっロー!助けて〜っ!!」
隙を見て人攫い達の囲いから抜け出したラビ。すばしっこい彼女にとってそんなことは朝飯前なのだが、問題は彼女に付き纏う恐怖である。
もしこいつらに捕まったら……そう考えずにはいられない。
「こ、来ないでよ〜っ!!」
半泣きになってラビはひたすらこの場から逃げ出したのだった。
命がけの追いかけっこ
(うわぁあ!?怖いよぉぉっ!!)
(くそ、すばしっこいな…!絶対逃がすんじゃねぇぞ!!)
(お願いだから逃がしてよぉぉっ!!)