容赦なしのお説教タイム

今の私の頭の中は色々ありすぎてパンクしそうだった。…島に入った瞬間ロー達とはぐれるわ、人攫いに襲われるわ、キャプテン・キッドに……!!





「っろぅー!!」




今はとにかくローに会いたくて仕方がなかった。…混乱している私を鎮めてくれるのは彼しかいない、と本能的に知っていたのだろう。とりあえずラビはがむしゃらに辺りを駆け巡ったのだった。そんな彼女に、神も同情したのだろうか。何とか人通りのある町の方へと出れたのだった。




「…っうわーんっここどこー!?」


「………ラビ!?」


「…!その声は、ペンギン!?」




ようやく仲間に出会えたことに、ラビは胸が撫で下りた。





「わーんっ!ペンギーンっ!!」


「わっバカ!抱きつくな!!こんなとこキャプテンに見られたらっ……」


「だってだって、不安だったんだもん!!」





ぎゅうう…とペンギンにしがみつくラビ。そんな彼女を必死に引き離そうとするペンギンだが、それをシカトし、たたただしがみついている。




「ったく、今の今まで何してたんだよ?皆ラビ捜索しまくってたんだぜ?」


「こっちだって大変だったんだよ?ただでさえせっかく久々に島へ着いたって言うのに歌や舞いの披露はできないってだけで落ち込んでたのにさ…!皆いなくなっちゃうし、人攫いに会うし…」


「は!?ラビ、人攫いに会ったのかよ!?」


「もうっ凄く怖かったんだから!どこまで逃げても追いかけてくるし、道迷うし…」





今までの経緯を振り返り、話していくだけでも涙腺が刺激される。…何よりラビにとって皆とはぐれていた時間の中で最も衝撃が強かったのは……





『…てめえ、キスもまともに出来ねぇのに女ぶってんじゃねーよ』




「…うぅ、何よりもう"あの人"には絶対会いたくない…!」


「ほう、一体誰と会ったって言うんだ?」


「っ!?せ、せんちょ…!!」


「へ?せんちょ?」




いきなりペンギンが吃った声を出すので何かと思えば……





「…っロー!!」


「ペンギン、今すぐラビを離せ」


「…あ、アイアイ…っ!!」




身の危険を感じたペンギンは直ぐ様自分にしがみついているラビを強引に突き放し、咄嗟にその場から逃げた。




「…〜っロー!!」





いなくなったペンギンの代わり…とでも言うかのように、ラビは目の前にいるローへと正面から抱きついた。





「ローのバカ!なんで私置いてきぼりにしてフラフラいっちゃうの!?」


「それはこっちの台詞だラビ。勝手な行動するなと何度言えばわかる?」


「…もうとりあえず説教はあとにしてよぅ…私、もうほんと不安で…やっと安心できたんだもん!」


「それはお前が悪いからだ」


「…はぁ〜…やっぱローが一番落ち着くよ…」




彼の胸元に顔を埋め、すりすりと頬擦りをしているラビ。その表情からは実に安堵した様子が伺える。そんな彼女の姿は可愛らしいものだが、その姿だけで全てを許してしまうほどローは甘くない。目の前にある彼女の頭をわしづかみすると、強引に自分の方へ見上げさせた。





「ろ、ロー…?」


「説教タイムだ」


「ま、待ってよ…もうちょっとこのまま…っ」


「俺に指図すんじゃねェ、ラビ」





全て洗い浚い話してもらう、と告げ、ニッと妖しげな笑みを浮かべるローを見て、ラビの背筋に悪寒が走ったのだった。




容赦なしのお説教タイム



(…あのことは、言わない方がいいよね…?)(言いたくないし…!)
(…他の男の匂いがすんのは、どうしてだ?ラビ)
(に、匂いーっ!?)



男の勘ってやつです。←