子供じゃないよ
「わーっ!こどもになっちゃったー!おもしろーい!体軽ーい!!これならおどりやすいかな…?」
「…手焼かせやがって……ほら、これでも着とけ」
「わっ!…あ、ありがとロー…!さっそくきがえてくるー!」
…普段よりさらに小柄になったラビ。おちおち、と歩く姿は普段以上に頼りない。
「…ジュエリー屋…後で元に戻せよ」
「仕方ねぇなぁー…ま、今日一日くらいいいだろ?面白ェからな」
ケラケラ笑いながらボニーはレストランを後にしていく。遠くなる彼女の背中を眺めながらローは小さく溜息を零した。
「キャプテン!見て、ラビ、可愛い!」
「へへっ…ベポすきー」
着替え終わったのか…ラビはベポに抱っこされながら奥から出て来た。その姿はもう、子供そのものである。
「…ラビ」
「うん?」
「こっち来い」
くいくい、と人差し指を曲げてラビに自分の方へ来るよう呼ぶローの元へてくてくと近寄る。すると、ローに左右の脇腹辺りを持たれ、抱き上げられた。
「…確かに、お前こんなんだったな…」
「!?いひゃい、いひゃい!なんでほっぺつねるのー…!?」
「あははは!なんか船長とラビ、まるで親子みたいだな!」
「確かに」
その様子を見て、ペンギンとキャスケットは思わず呟いた…が、彼らの呟きが気に食わないロー。不機嫌そうに顔をしかめた。
「おやこだってー」
「こんなガキなんざいらねェよ」
「…ひどい…!」
「……まぁ、そうだな」
「…何?」
「オメーとのガキだったら、悪くねェかもな」
「へ……!」
ローの言葉に、ラビは目を丸めた。…そして、何度も自分の頭の中で何を言われたのか整理し、言葉を呑みこむと…耳まで赤く染めた。
「相変わらずわかりやすい奴だな」
「…っ!か、からかったのね…ひどいっばか、はなしてー!」
「暴れんじゃねェよ」
「もう、ローなんてしらないんだから!」
「あ、ちょっラビ勝手に一人でどこでも行くんじゃ…!」
キャスケットはレストランを一目散に飛び出していくラビを慌てて呼び止めるが、彼女は聞く耳を持たず。
ピューと効果音が聞こえてくるのではないかと思えるほどの素早さでこの場を後にした。
「…ローのばか…いっつもわたしのこと、こどもあつかいしすぎなんだから……」
一人で町中を歩きながら、ローの愚痴を零しているラビ。いつもローに振り回されっぱなしでペースを崩されることが気に食わなかった。
「…イライラするときは、うたうにかぎるっ」
思い立ったらすぐに行動…とでも言うかのように町中であることなど一切気にせず歌いだす。
またこれも普段と違い、幼い子供の声ではあるが歌の上手さに変わりはない。綺麗な音律を器用に奏でて、それは町の人が思わず見入ってしまうほど。
そんなとき、新たな出会いがまた一つ。
子供じゃないよ
(ヘイ、お嬢ちゃんなかなか歌が上手ェじゃねーか)(俺っちと音楽奏でてみねェか?)
(…?)