大ピンチな予感
「わぁ…!すごいすごーい!もっといろんな曲弾いてー!」
「俺っちの凄さはまだまだこんなものじゃねェよ?」
「よーしっわたしも歌うー!」
偶然出会った男…海鳴りアプーに肩車をしてもらいながら街を歩くラビ。
仲良く音楽を奏でる二人の姿は仲のいい兄妹のようだ。
「アッパッパッパ!チェケラァ〜!!」
「きゃはははっ!すごーい!アプーさんも音楽好きなの?」
「まぁな!そういうそちらさんもかなり歌い込んでるみたいだな?」
「ふふっ毎日船でも歌ってるからね」
二人が出会ってそんな時間は経っていないと言うのに、こんなにも仲よくなったのは二人に音楽と言う共通点があるからであろう。
「船?お前さんが?」
「私ねーこれでもある海賊団の一員なんだよ?」
「お嬢ちゃん、嘘はいけねェぜ?そんなおちびちゃんに何が出来るって言うんだよ」
「このちっちゃいのは色々と事情があって…本当は17歳なんだよぅ!」
「17ァ?ひゃっひゃっひゃ!んな漫画みてェな話があるわけねェだろ!」
「ほんと、ほんとなんだって…!」
何とか真実を伝え、信じてもらおうとするラビだが、アプーからしてみれば何の冗談だとしか思えない。17だと言い切る彼女だが、アプーの目に映る彼女は4、5歳くらいに見えればいい方だ。
17歳など、信じれるはずがない。
「大体海賊ってのも嘘くせー話じゃねェか。今この島にゃ俺っちも含めて11人もの億超えの賞金首がいるらしいが…そんな大物なんかじゃなさそうだしな」
「わ、私は違うよ!戦えないもん。けどベポとかペンギンとかシャチとかみーんな強いよ!一番強いのはやっぱりローだけど…」
「…ろー?」
「うんっ私の幼なじみなんだけどね、ローが海に出るって言うから私も海に……」
「…おーっと、一先ずお喋りはその辺にしといたいいみたいだぜ?」
「え?」
アプーの言葉に目を丸めるラビ。彼は少しながら目を細め、そしてにやりと楽しそうに口元を緩めた。
…と言うのも、自分たちに向けられた殺気を感じたからである。
『テメー等さっきからごちゃごちゃうるせェんだよ』
「!!」
聞き覚えある声に、ラビはビクリと肩を震わせる。そしてアプーに先程より強くしがみついた。
『…ん?見覚えのある面じゃねェか…少しちっちゃくなったのは気のせいか?』
クスクス笑いながらこちらを射抜く視線が痛い。
「ゆっゆ、ゆゆゆゆ…ゆーすたす…きゃぷてん、キッド…!!」
ラビの声は震えていた。
「ん?お嬢ちゃん、奴と知り合いか?」
「ち、ちがっ」
「海鳴りぃ!!…そいつは俺の獲物だ、貸せ」
アプーの発言を全力で否定するラビだが、それを遮ってキッドが口を開く。アプーはキッドの言葉に目を開いた。
「オメー、ロリコンだったのか!?」
「っ!?」
「…海鳴り、殺されてェのか?」
何故に彼を刺激するようなことを言うのだ、と嘆きたくなる気持ちを抑えるラビ。とりあえず今はこの場から脱出したい。
「アプーさん、ここはもう逃げよう!?絶対ろくなことになんないよぅ…!!」
「馬鹿だな、敵は怒らせて逃げるに限るぜ?」
「んなっ!?」
「キラー、あのガキ狙え。いいな」
「…わかった」
大ピンチな予感
(おとなしくこっち来い、また可愛がってやるぜ?)
(い、嫌っ!)
(船長、あっちの方が騒がしいみてぇなんだけど…)
(行ってみるぞ)