仲良くしましょ
街中だと言うのに普通に平然と戦闘してしまう彼らの神経がおかしいのだろうか、それとも私の感覚がおかしいのだろうか…どちらが正解かなんて、わかるわけないけれど…わかることはただ一つ。私はこんな場所にいてはいけない人物だってことを。
「振り落とされたくなかったらしっかり捕まってんだな」
「ひぃっアプーさんっ!」
ガシッとアプーにしがみつくラビ。と言うのも、彼女を狙ってキッドの部下であるキラーが剣を回転させているからだ。…キィィンと言う金属音に、ラビは泣きそうになる。
「手荒な真似で連れて行かれたくなかったら大人しく俺等の言うことを聞くもんだな」
「絶対嫌っ!」
キラーの救いとも言える言葉を嫌の一点張りで跳ね返すラビ。そんな彼女の態度に、キラーは剣の回転させる速度を上げた。
「なら無理矢理連行するまでだ」
「…んなっ!?」
「おいおい、俺っちを無視して話進めるとはいい度胸じゃねェか」
「アプーさんっ!」
「安心しな、お嬢ちゃん。」
ニッと口元に笑みを浮かべるアプーに、ラビは肩の荷が下りた気がした。
「…キッド、あの少女が一体なんだと言うんだ?俺には特別何も感じない、ただのガキにしか見えないのだが…」
「ハッ、確かに…アイツはただのガキさ」
「ならどうしてそこまで執着する?」
「面白ェからだ、理由なんてねェよ」
ただ興味があるだけだ。普段はうるさいガキだが、あの時、自分のためにと歌ったあの少女は…別人のようだったがそれもまたこの少女なのだ。
彼女には、何か秘めたる力か何かがあるのだと推測し、その力の正体を知りたいだけ。
「おいガキぃ、お前歌うことだけじゃなく縮むことも出来んだな」
「ち、違う!だからこれにはいろいろと事情が…」
「せっかくの、でかかったもんも一気に萎んじまったなァ?」
「でかかった…?…っ!や、えっち!!」
最初キッドの言葉が指してるものが何なのかわからなかったが…すぐに自分の胸のことを言ってるのだと察知出来た。
「さーて、どう遊んでやろうかねェ…」
「…っアプーさん!!もう遊びとかいいからここは逃げよ?ほんとあの人怖いんだよぅ!!」
「それじゃあつまんねェよ」
「つまる、つまらないの問題じゃなくて……!」
…と、アプーの背後でおどおどとしつつも相手の様子を窺うラビ。…こちらを鋭い瞳で見てくるキッドにゾゾゾ…と背筋に寒気が走った。
「あらよっと。物騒な攻撃だなァ」
「ちょこまかと動きやがる…!」
「ひぃっ!?剣先が全然見えないっ!!」
ラビを抱え込みながらもキラーからの斬撃を軽く避けていくアプー。
そんな中ラビは一人ハラハラしていたときだった。
「…ROOM、シャンブルズ」
「わっ!?」
次の瞬間、目の前の視界が変わった。
「……ろー!?」
「…ほんとお前小せェな。軽すぎだろ…」
片手でラビを持つローを見上げると、彼は不機嫌そうな表情をしていた。
「あれ!?アプーさんは……」
ふと、先ほどまで自分がいたところに視線をやるラビ。するとそこには見慣れた白クマが自分のいた場所へといるではないか。
「あぁ!?一体何がどうなってやがる!?なんでお嬢ちゃんが白クマになってんだァ?」
「…ごめん」
「しかも打たれ弱ェ!?」
「おい貴様、今何をした!?」
「俺が知るかよ!」
…大騒ぎになっているではないか。
「…だ、大丈夫なの…?」
「んなもん俺が知ったこっちゃねェよ。俺が興味あんのは、アイツ一人だけだからな」
ローの視線の先には、こちらを見据えているキッドの姿がある。
「テメーは、トラファルガー・ローだな…」
「ユースタス屋に、俺のこと知られてるとは光栄な話だな」
「そんな面してねェだろうが」
「久々に楽しめそうだな」
ニヤリ、と笑みを浮かべた二人にラビはまたも嫌な予感がしたのだった。
仲良くしましょ……なーんて、無理な話だよね…
(とりあえず、そいつ貰うぜ)
(やるか、こいつは俺んだ)
(…や、私は私だから…!!誰のものでもないから!!)