攻めたもん勝ち

「……っ」


「そんな警戒するな、手荒な真似はする気ない」





…そんなこと言ったって今もう既に手荒な真似をされてると思うんだけど、とラビは言いたくなったが何とか堪えた。





「アイスも買ってやったし、いいだろ?」


「…それはありがとう!」





キラーに買ってもらったアイスクリームを食べながらお礼を告げるラビ。一応睨んで警戒はしているのだが、アイスのせいでつい口が綻び、全然迫力がない。…最も、億超えの賞金首に最初からそんなもの通用するはずがないのだが。
ラビはあの後、見事にキッドの船へと連行され、今は椅子に腰掛けながらキラーに買ってもらったアイスを頬張っているところである。





「…こ、このアイスは確かに美味しいけど…!…これで貴方達のことを信用したわけじゃないんだからねっ…!」


「そんな笑顔を向けられながらそのようなこと言われても迫力ないんだがな」


「…うぅ…っけど、美味しい……」





こんなことになっているとローが知ったら、どのような目に遭わされるか…想像しただけで身震いするが、目の前の幸せに勝てない。





…などと話をしていたそのときだった。ぼんっ…と音がしたかと思うと、子供の姿をしていたラビが一瞬で元の姿に戻ったのだった。





「!?」


「…あ、戻っちゃった……ボニー船長の能力が切れちゃったのかな…」




驚くキラーたちをほっといて、ラビは自分が元に戻ったことを呑気に分析をしていた。




「…ほぉ、ようやく戻ったか、女」


「!?そ、その声は……」





声のした方へゆらーり、と振り返るラビ。すると予想通りの人物が満足げに笑みを浮かべながらこちらを見ていた。






「っ私帰る!」


「ハッ、そう易々と帰すかよ」


「キッド、トラファルガー・ローはどうした?」


「あぁ、適当に撒いてきた」




キッドの姿を一目見て、ラビは直ぐ様椅子から下り、部屋の奥へと逃げた。…が、そんな彼女の反応がキッドには面白くて仕方がない。




「キッド、この女一体どういうことだ…?幼女が一瞬で大きく……」


「さぁな。だが、こっちが本当の姿なのは間違いねェよ」


「…っこないで…!私はローのとこに帰るの…!」


「あぁ?」


「…〜っこ、怖いよぅ……」




一睨み、キッドにされただけでラビは半泣きである。ぶるぶると物影に隠れ、怯えている。




「キラー、ちょっとあっち行ってろ」


「わかった…手荒な真似はするなよ」


「それは、こいつ次第だな…」




にやり、と笑いながらそう言うキッドにますます恐怖心が逆立てられる。





「それ以上、近づかないでよぅ…!」


「仕方ねェだろ?お前が近くに来ないんだからよ」


「だって何されるかわかったもんじゃないんだもん!」




キッドが一歩近付ける度にラビも一歩下がる。が、それもすぐに無駄な抵抗だと終わる。





「っあ…」





ラビの背にごつん、と壁がぶつかる。と同時に、ラビのすぐ横に両腕を壁へ置くキッド。例えるなら、ラビは袋の鼠と言うわけだ。もう逃げ場がないのだと嫌なくらい思わされた。





「覚悟するんだな…」


「……やーっ!!」




攻めたもん勝ち



(てめーこの手離しやがれェェ!!)
(や、だって…また、その……)
(ハッ、キスの一つや二つぐらいさせろ)
(ひ、ひとつって…!!)