繋いだ手
「はぁ、はぁ…な、何とか逃げれた…っ」
息切れをしつつも、物陰に隠れて身を潜めるラビ。それもそのはず。先程まで彼女はキッドに襲われかけていたのだから。
『いい加減おとなしく食われとけ』
『絶対に嫌!』
『ハッ、そんなこと二度と言えねェようにしてやろうかァ?』
『〜っ…あ、あそこにローの姿が…!』
『何ィ!?…どこにもいねェだろうがって…』
『い、今のうちにっ…!』
…と、キッドの気を逸らした瞬間、ラビは超特急でこの場から逃げ出したのだった。
「次に見つかったらもう私の命はないも同然だよ…」
ゾゾゾ…と寒気が立つラビ。想像しただけでも恐ろしいことである。
「どうやってこの船から抜け出せばいいんだろ…ここがどこかすらわからないよぅ」
このまま物陰に隠れているわけにもいかず、途方に暮れそうになったそのとき。
「───っ!」
いきなり背後から腕を掴まれ、引き寄せられた。
「〜っ!?きゃ、」
「騒ぐな、馬鹿」
「ふがっ!?」
キッドだと思い、声を上げようとしたラビだったが、それは自分よりも大きな手のひらに口元を覆われて不可能となった。大きな、独特のタトゥーの入った手のひらに塞がれて。
「ひうー!?(ロー!?)」
「だから黙ってろって言ってんだよ」
「はうひふふう!?(なんでここに!?)」
「…黙んねぇ口は、黙らせるまでだ」
「ふぇ?……──んんっ!」
いきなり口付けられ、パニくるラビ。今の自分の状況についていけてない。
激しい口付けに呼吸すらままならなくて、酸欠気味になる。そのため最初は抵抗していたラビだったが、すぐに力がなくなり、最終的にはローのされるがままとなった。
ラビの体から力が抜け切るのを見計らうと、ローは口付けをやめた。
「はっ…はぁ、は…」
「ククク…こんくらいで息切らすとは、まだまだ肺活量がないんじゃねェのか?」
「〜っこ、これでも…歌い込みとかして、鍛えてるのにっ…はぁっ」
…逆に、なんでそんなにローが余裕でいれるかの方が不思議でたまらないのだが。
「…ラビが一緒にいる時点でユースタス屋に不利だ。一度お前を連れ帰すのを先にする」
「…失礼なんですけど、それ。私だってちゃんと戦え…っ!」
「戦える奴はこんな面倒なことわざわざ起こさねェんだよ」
「…うっ」
図星のため、何も言い返せないラビ。…やっぱりローにはかなわない。
「…そんな面倒な奴、さっさと手放してもよかったのに…」
「一度手に入れたもんは一生俺のもんだ」
「〜っろ、ローの女たらし…!」
「ハッ、褒め言葉にしか聞こえねェな」
…こんな自信家な幼なじみに気付かぬ内に夢中になっていた私が言えた台詞じゃないかもしれないけど。
「…今のうちに行くぞ」
「…っうん」
けどやっぱりね、ローの温もりを感じただけでさっきまでの不安いっぱいだった気持ちが綺麗に晴れていったのは…私が誰よりもローを信用している証拠なんだろうな。
繋いだ手
(あ、見つけたぞラビ!しかもトラファルガーもいやがるじゃねェか!!)
(わわわっ!!)