新たな出会い

白くま君、もとい、ベポの話を聞いたときは戸惑いを隠せなかった。彼…と私が幼なじみだったこと。私が彼に付いてきていたこと。…私と彼が…特別な関係だったことも。





「…そんなの、私に言われてもわかんないよ…」





だって自分の名前も不自然だと思っているのに、他人のことなんてもっての他だと思う。自分勝手と言えばそうなのかもしれないが……だけどこの場合は仕方ないじゃないか。





「…あの人が、海賊王に…私が世界一の舞姫に……か」





そんな大事な夢を言い交わしていたことすら、今の自分には全く残ってなどいない。それが、悔しくて、歯痒い。





「あーもうっこんなことばっか考えるの嫌になった!…気分転換に街にでも出歩いてみようかな…」




船の窓から見える街の様子が気になったラビは誰にもバレないようにと気を付けながら、船を後にした。





「…キャプテーン、ラビに謝った方がいいんじゃないかな?」


「ハッ、なんで俺がアイツに謝んなきゃなんねーんだ」


「だって、ラビすっごく怯えてたよ?」


「その割にはベポになついていたじゃねーか」


「そ、それは…」





ベポが見た目が白くまで、愛らしいからというだけであろう。それを叱られてもベポにはどうすることもできないというものだ。





「アイツが簡単に俺のことを忘れたりするからだろ」


「けどラビだって好きでキャプテンのこと忘れちゃったんじゃないよ?」





ラビにとって、ローが誰よりも大切な存在だってことぐらい…見ていればわかる。彼女の一番の楽しみである歌や舞いなどはローのためにしていたことでもあるのだから。





「キャプテン、ラビがああなっちゃった原因って…」


「大変だ!!ラビがっ!」




ローとベポがラビの話をしていたそのとき、キャスケットが大慌てで二人の会話に乱入してきた。





「なんだ、騒々しい」


「ラビが…いなくなっちっまったんだ!!」




船内はラビの失踪に大騒ぎであることなど知らずに、ラビは呑気に一人シャボンディ諸島の町をぶらぶらしていた。





「…すごーい、泡が浮いてる!」




この町では普通なことかもしれないが、一般的には有り得ないことで。記憶を失う前に、こういう環境であるのは知っていただろうが、今は違う。ラビは素直に驚いていた。




「んー、やっぱ外は気持ちいいな!」





船の中に籠もりっぱなしだなんて、もったいないに決まってる。やっぱ人間外には出ないとね!…などと彼女らしい思考を持ちつつ、町を歩く。…そんなときだった。





「…きゃっ!」





ふらふら歩いていたラビは、とある一行にぶつかり、おかげでラビは尻餅をついてしまった。




「いたたた…」


「悪ィ!おめー大丈夫か?」


「へ、あの…」





自分を謝ろうとしたがタイミングを逃してしまったラビは一人その場でオロオロしている。とりあえず手を差し伸べてくれる麦わら帽子を被った男の子の手を取り、腰を上げた。





「えー…と、ありがとうございました!」


「気にすんなよ!」


「おーいルフィ〜!…もうどんどん先行っちゃうんだもん、おれ付いてくのにやっとだったって…ん?誰だこの子?」


「!…可愛い」





麦わら帽子の少年の足元にピンクのハットを被った生き物がラビをジッと見てきた。ラビはその生き物の可愛さに一目惚れしてしまったのだった。




新たな出会い



(俺はルフィ、モンキー・D・ルフィってんだ!)
(おれはトニートニー・チョッパーだ)
(私はラビっ!よろしくね!)