響き渡る歌声に
「へ〜お前、記憶喪失なのか?」
「うん、そうみたいなの」
「そりゃ大変だ!ど、どどーしよ、医者ァァ!!って俺だァァ!!」
「え、チョッパーちゃん、そんな小さいのにお医者さんなの!?すごーいっ」
「べ、別に褒められても嬉しくなんかねーぞ、このやろう!!」
…と、口では言ってるものの表情はにやけきっているチョッパーにラビはクスクス笑った。
「なぁチョッパー、何とかしてやれねーのか?その記憶喪失ってやつをよ〜」
「う〜ん、俺も何とかしてやりたいのは山々なんだけど、何しろそんな患者診るの初めてだし…」
「そんなチョッパーちゃんやルフィ君が気遣う必要なんてないよっ?これは私の問題なんだし…これから新しい思い出とかいっぱい作っていけば…!」
「けどよ〜…お前が記憶なくなっちまったら、お前の仲間とかがスゲー悲しむんじゃねぇのか?」
「…仲間…」
ルフィの口から出た"仲間"の単語に反応するラビ。確かにこの状態になって初めて目覚めたとき、仲間らしい人々がいっぱいいて、私のことを心配してくれていた。
…ただ一人を除いては。
「…そんなこと、ないよっ…きっとあの人は私のことなんて何とも思ってないと思うから…!」
「あの人?」
「すっごい怖い人が私の船にもいたの…もう目付きは人並みじゃないし、雰囲気も只者じゃないし…何より私が記憶喪失だって言ったら私を無理矢理ぶん殴ろうとしたし……」
…思い出しただけでも身震いがするほどの怖さ。…怖い、あの人のことなんて私は知らないままでいい!…そう思った矢先、ルフィがまた核心突いた言葉を放った。
「そりゃお前が大事な仲間だからじゃねーのか?」
「え…?」
「俺だったら大事な仲間を取り戻すためなら、どんな手段も選ばねェからなー、うししし…」
「ルフィ、くん…」
「俺も、ルフィの意見に賛成だなっ!仲間に忘れられたりしたら寂しいもんな!」
「チョッパーちゃん……」
二人の言葉に、ラビは気が付いた。…自分が自分だけのことしか考えていなかったことに。記憶失って、ただ不安で…そのせいにして全てを拒んでた。…受け入れようともしなかった。私が不安になる分、きっとベポ君やみんな…あの人も寂しいと思っていたはずなのに……
「…私、帰らなきゃ!」
「ん?もう帰っちまうのか?」
「…うん。まだ記憶が戻ったわけじゃないけど…けど、やっとちゃんと…向き合いたいって思えたから…!この気持ちを大切にしたいから!」
「ははっそーかそーか!」
「ルフィ君たちのおかげで気付けたよ!ありがとー!」
ぶんぶんと二人の手を握り、握手するラビ。気持ちの整理が出来たおかげで心持ちがスッキリしていた。
「お礼と言っちゃアレだけど、一曲歌うよ!」
「歌?お前歌うの好きなのか?」
「わかんないけど…今思いっきり歌いたい気分なの!」
すぅ、と息を吸い込み、次の瞬間…綺麗な歌声が彼女の口から流れていく。
愉快そうに、楽しそうに歌うその姿につられてルフィたちはリズムに合わせて踊りだす。それだけで周りからの注目は集中した。…ラビの歌声は、彼女を探しに町に出ていたローにも届いた。
「…ほんと、あの馬鹿は手のかかる…」
はぁ、と溜め息を吐きながらローは歌声の聞こえてくる方へと足を向けたのだった。
響き渡る歌声に
((すげーっ!!))
(…うわ、歌うのってほんと気持ちいい!!)