バイバイ(さようなら、)

ギンちゃんの霊圧を辿って、戦場を駆け巡った先にいたのは…背後から襲われそうになっているギンちゃんの姿で。
ギンちゃんが危ない、ギンちゃんを助けないと。ただただその思いに駆られ、無我夢中で叫びながらギンちゃんの前を立ち、塞いだ。



次の瞬間、真っ赤な血が散らばり、力のなくなった体は地面へと急降下していった。






「琥珀っ!!」





ギンちゃんに、また会えた。
ギンちゃんに、また琥珀の名前を呼んでもらえた。


…ギンちゃんの役に、立てた。


嬉しかった。





「…ぎん、っちゃ……」





藍染の手刀をまともにくらい、全身から真っ赤な血が流れている。
大好きなギンちゃんの名前を呼びたいのに、上手く呼吸が出来なくて、声が出ない。
大好きなギンちゃんに抱き付きたいのに、体が思うように動かない。起き上がることもできない。

苦しい、痛い。


だけど、それ以上に。



ギンちゃんに、ふれたい。






最期の力を振り絞って、少しだけ腕を上へ上げれば…それに気づいてくれたギンちゃんは琥珀の手をそっと握ってくれた。






「なんで…なんでこないなところ来て、僕を庇うような真似なんかしたんや、琥珀!!」

「…ぎ、んちゃ…に……会い…たかっ……」

「……なんでっ…」





琥珀の頬をポツポツと雫が落ちた。目線をギンちゃんに戻せば、ギンちゃんの瞳から涙が出ていた。…初めて見た、ギンちゃんの涙。







「僕はっ…琥珀を傷つけたのに…せやのにっ…!」


「…ぎ、…っちゃ…」


「もう話したらあかん。傷口に響くさかい…」

「…ギンちゃん、あの…ね……」

「話したらあかんて!!今無理したらっ……」

「…だい、すき」

「……琥珀…!!」





恐る恐ると、ギンちゃんへの想いを口にした。すると、ギンちゃんは目を開き、驚いた様子だった。







「…だーい、すき…ギンちゃん…っと、ずっと……大好き…」

「何、言うて……」

「…琥珀、いい子に…してなかった…から、ギンちゃ、嫌われちゃった…け、ど……でも、琥珀……こんどは、いい子で、いる…」

「…も、もう、ええから…琥珀は、もう何も言わんと…!」

「…いい子に、して…たら、ギンちゃんの…そばにいても、いい…?」

「…っ琥珀!」





お願い、ギンちゃん。琥珀を見捨てないで。一人にしないで。
琥珀にはギンちゃんしかいないんだよ。だから…お願い、傍にいさせて。琥珀、もう独りぼっちは嫌だよ。






「…だーい、すき…ギンちゃん…」

「…っ嫌や、琥珀!お願いやから…っ目閉じんといて!逝かんといて!!」

「ぎ…ちゃ……」






意識が遠くなるのを感じた。…だけど、つらくないよ、琥珀。
ギンちゃんが、最期にこうして傍にいて、抱き締めてくれたから。

一人じゃないから、大丈夫だよ。

だから、もう…泣かないで。最期の、お願いだよ。ギンちゃん。