ほんまに好きやねん
「やめてぇええ!!」
少女の叫び声が響いたと同時に、彼女の体は容赦なく貫かれた。
「…え………」
目の前で起きた出来事に、自分の目を疑った。
「…ぎん、っちゃ……」
「…っ琥珀!!」
真っ赤な少女の血が、僕の頬を伝う。弱々しく僕の方へ手を伸ばす琥珀の体はゆっくりと倒れていく。地面へ落ちる前に少女の体を抱き、そっと手を握る。
血だらけの姿に、頭は働かない。何故、どうして。
琥珀はこんなにボロボロになっているんや。
「琥珀、琥珀!!しっかりしぃ!」
「……ギン…ちゃん……うっ…」
彼女の口から真っ赤な血が吐き出される。…内臓がやられていることは間違いない。
だけど、目の前の琥珀はそんなことを気にも留めずに、僕の方へ手を伸ばし、嬉しそうに微笑んでいる。
「もう話したらあかん。傷口に響くさかい…」
「…ギンちゃん、あの…ね……」
「話したらあかんて!!今無理したらっ……」
「…だい、すき」
「……琥珀…っ」
弱々しい声で、彼女が呟いた言葉に僕は目を見開いて驚いた。
「…だーい、すき…ギンちゃん…っと、ずっと……大好き…」
「何、言うて……」
「…琥珀、いい子に…してなかった…から、ギンちゃ、嫌われちゃった…け、ど……でも、琥珀……こんどは、いい子で、いるよ…」
「…も、もう、ええから…琥珀は、もう何も言わんと…!」
「…いい子に、して…たら、ギンちゃんの…そばにいても、いい…?」
「…っ琥珀!」
小さな体を抱きしめた。彼女のささやかな願いが、胸を締め付ける。
…何言うてるんよ、琥珀はずっといい子にしておったやんか。僕が悪いんよ、琥珀は何も悪うない。
せやから、お願いやから。
「…だーい、すき…ギンちゃん…」
「…っ嫌や、琥珀!お願いやから…っ目閉じんといて!逝かんといて!!」
「ぎ…ちゃ……」
弱々しくも僕の手を握っていた琥珀の力は抜け、大きくて愛らしい瞳は閉じた。
「は…嘘や…嫌や、琥珀!!琥珀!!目ぇ覚まして僕の、僕の名前を呼んでや!!いつもみたいに、ギンちゃんって……」
『ギンちゃーん!』
今でも目を瞑れば、可愛い声で僕の名前を呼んでくれるのに…僕の腕の中で眠る琥珀はもう二度と目を覚ますことはない。